【3月10日 AFP】カジュアル衣料ブランドのユニクロ(Uniqlo)を展開する衣料品大手ファーストリテイリング(Fast Retailing)は10日、ウクライナに侵攻したロシアでの事業を一時停止すると発表した。同社は先に、ロシアでの営業継続を表明しており、方針を転換した格好だ。

 同社は「ロシアにおいても、私たちの使命の一環として、これまでユニクロの日常着を一般の人々に提供してきた」ものの、「現在の紛争を取り巻く状況の変化や営業を継続する上でのさまざまな困難」に直面し、「事業を一時停止する判断に至った」と説明した。

 ファーストリテイリングの柳井正(Tadashi Yanai)代表取締役会長兼社長は今月7日、紛争を理由にロシアの人々から衣類を奪ってはならないと強調。「衣服は生活の必需品。ロシアの人々も同様に生活する権利を持っている」と発言し、競合する小売り大手のザラ(ZARA)やH&Mがロシアでの営業を停止しても、ユニクロは店舗営業を継続するとしていた。

 柳井氏のコメントを受けて、ユニクロのボイコットを求める声も一部で上がっていた。

 ファーストリテイリングは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて、人道支援のため1000万ドル(約12億円)と衣料を寄付したことも明らかにしている。(c)AFP