【3月9日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の妻オレナ・ゼレンスカ(Olena Zelenska)夫人は8日、各国メディア宛ての公開書簡で、ロシアが子どもを含む民間人の「大量殺人」を行っていると強く非難した。

 オレナ夫人は、ロシアによる侵攻を知った時、「信じられなかった」と振り返った。「2月24日、朝目覚めてロシアの侵攻を知った」

 ロシア政府のプロパガンダを流す報道機関は侵攻を「特別軍事作戦」と呼び、市民の安全を保証しているが、実際には「ウクライナ市民の大量殺人だ」と非難した。

 オレナ夫人は、最も恐ろしいのは子どもも犠牲になっていることだとし、名前を挙げながらこう続けた。

「キエフのポリーナは両親と共に砲撃を受けて死んだ」「8歳のアリスは、祖父が守ろうとしたにもかかわらず、通りで亡くなった」「14歳のアルセニーはがれきが頭に当たった。激しい銃撃のため救急車が間に合わず助からなかった」

「ロシアが『民間人に対する戦争ではない』と言うたびに、まず私は殺された子どもたちの名前を叫ぶ」

 さらに夫人は、必要な医療が受けられない状況が続いていると訴えた。

「地下室でインスリン注射を打ったり、激しい銃撃の中でぜんそくの薬を手に入れたりするのが簡単だとでもいうのだろうか」「化学療法や放射線治療の再開がいつになるか分からないがん患者がたくさんいることは言うまでもない」

 オレナ夫人は、ゼレンスキー氏のコメディー番組制作会社で脚本を書いていた。夫妻の間には2人の子どもがいる。

 ウクライナ大統領府にオレナ夫人がキエフにいるか問い合わせたが、これまでに回答は得られていない。(c) AFP