【3月9日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は8日、英議会でビデオ演説し、「最後まで戦い続ける」と徹底抗戦の姿勢を改めて示した。

 演説前後には、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相や議員が総立ちとなり、拍手した。英議会で外国の首脳が演説するのはまれで、スタンディングオベーションが起きるのはさらにまれだ。

 ゼレンスキー氏は、ロシアによる侵攻で日を追うごとに子どもを含む民間人の犠牲が増えている現状を訴える一方で、「われわれは降伏しないし、敗北もしない」と強調した。

 さらに「われわれは森で、平原で、海岸で、市街で戦い抜く」と決意を示した。

 この言葉は、第2次世界大戦(World War II)時に英国を率いたウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)元首相が、ナチス・ドイツ(Nazi)の攻勢を受け仏ダンケルク(Dunkirk)から撤退した直後の1940年6月に議会で演説した際の表現を想起させるものだった。

 ゼレンスキー氏は、英国が生んだ文豪シェークスピア(Shakespeare)の名言も引用し、「今、われわれにとっての問題は生きるべきか死ぬべきかだ」と自問。「明確な答えを示そう。そう、生きるべきだ」と語った。

 ゼレンスキー大統領はジョンソン首相に対し、対ロシア制裁の強化、ロシアのテロ国家指定、ウクライナ上空を対象とする飛行禁止区域の設定を求めた。

 これに対しジョンソン氏は「ここにいる全員が心を動かされた」と述べ、西側諸国によるウクライナへの武器提供の推進と、制裁強化の意向を表明した。英米両国は先に、ロシア産原油の輸入禁止を発表している。

 ただ、北大西洋条約機構(NATO)による飛行禁止区域の設定については、核兵器保有国であるロシアとの全面戦争に発展する恐れがあると指摘するにとどめた。(c)AFP/Jitendra JOSHI