【3月13日 AFP】砂浜に埋まった、あるいは潮だまりに打ち上げられたビーチサンダルはぼろぼろで、海藻が絡まっている──。ケニアの海岸の美観を損ねているこのごみは、河川から流れ出て、あるいはアジア地域やさらに遠くから海を渡って運ばれてきた。

 世界中の人々が愛用する安価なビーチサンダルは、他のプラスチックごみ同様、海や浜辺を汚染している。インド洋に面するケニアのキリフィ(Kilifi)にある手つかずの白い砂浜では、それが一目瞭然だ。

 ケニアの会社、オーシャンソール(Ocean Sole)は、海岸や川岸を汚染するこうしたプラスチックごみを色鮮やかな彫刻や玩具にリサイクルしている。

 同社のリリアン・ムルピ(Lillian Mulupi)氏は「(ビーチサンダルは)とても安いので、用済みになれば捨てて新しく買うだけです。だからこうして私たちの海岸に大量に流れ着くのです」

 キリフィでは最近、ボランティアによるたった1時間の海岸清掃活動で、ペットボトルのふた、歯ブラシ、キャンディーの包み紙、ビーチサンダルなどが大量に回収された。

 約150人のボランティアが参加する定期的な清掃活動を組織するムルピ氏は、「海岸を2キロにわたって清掃すると、1トンものごみが集まります」と語る。ボランティアの女性は「遠くインドやフィリピンから流れ着くごみもあって、とても驚きます」と話した。

 集まったビーチサンダルはオーシャンソールが買い取り、ナイロビの工場に送られる。徹底的に洗浄された後、のりで貼り合わされ、色とりどりの平たい板に生まれ変わる。

 元は木工職人だった十数人の作業者たちがその板を器用に使って、カメやクジラのミニチュア人形、特注の壁掛け、大小の動物彫刻などを巧みに作り出す。ほとんどが国外での販売用だ。

 オーシャンソールでは年間75万~100万個のビーチサンダルをリサイクルし、約100人分のフルタイム雇用を創出していると言う。

 一部の推計によると、世界の水路に流れ込むプラスチックは、年間1900万~2300万トンに上るという。問題に対処せずに放置すれば、今後数十年間でその量は急増すると予想されている。

 オーシャンソールの商品管理を担うジョナサン・レナト(Jonathan Lenato)氏は「私たちは環境のために行動する必要があります。世界中の人々にもそれぞれの役割を果たすよう呼び掛けています」と語った。

 映像は2月12日撮影。(c)AFP/Nick Perry