【3月8日 Xinhua News】中国で電子商取引(EC)分野の調査・研究を行うシンクタンク、網経社EC研究センターはこのほど、「2021年度中国生鮮食品EC市場データ報告」を発表した。それによると、21年の中国生鮮食品EC市場取引額は前年比27・9%増の4658億1千万元(1元=約18円)で、普及率は7・9%だった。2014~20年の取引額の伸び率はそれぞれ123・1%、86・9%、68・6%、53・5%、39・0%、31・0%、42・5%。普及率は0・6%、1・3%、2・0%、3・0%、3・8%、4・7%、6・0%だった。

 これらのデータからは、モバイルインターネットのデータ通信量急増に伴いオンライン消費を行う層が拡大し、生鮮食品ECの発展の勢いが強まりつつあり、業界の見通しは明るいことが見て取れる。

 21年は中国生鮮EC業界で合計8件の資金調達が行われ、調達額は80億5千万元に上った。ユニコーン企業(評価額10億ドル以上のスタートアップ企業)となったのは「誼品生鮮」と「百果園」の各運営会社で、評価額はそれぞれ34億ドル(1ドル=約115円)、14億6200万ドル、2社合計で48億6200万ドルだった。「毎日優鮮(MissFresh)」の運営会社は上場を果たしたため、統計対象外となった。

 中国の生鮮食品EC事業者の現状を中国EC研究センターのデータで見ると、既存の4千社余りのうち99%が赤字となっている。事業者が直面する規準にかなわない商品や食品ロスの多さ、粗利益率の低さといった課題は非常に大きい。通常のネット通販商品に比べると生鮮食品の標準化は楽な道のりではなく、規格、品種、新鮮さ、品質の優劣などのいずれにおいても実現はなかなか難しい。

 食品ロスも大きな悩みの一つだ。生鮮食品ECでは物流段階での廃棄ロスが通常5~8%発生し、10%を超える場合もある。また、配送コストは基本的に20%を超えている。生鮮食品という特殊性のために物流のスピードと専門性に対する要求が高く、これによりコールドチェーン物流が生まれたが、従来型の物流よりも費用がかかる。

 粗利益率の低さも大きな問題となっている。往々にして客単価は事業者の経営コストを下回る。

 ただし、業界には先駆者も登場している。「前置倉庫」と呼ばれる小型倉庫をセールスポイントにしていた毎日優鮮は、米国上場前に「デジタル市場」などのアセットライト経営に移行した。「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」は21年第4四半期(10~12月)決算で、21年12月に上海で黒字化を達成したことを明らかにし、プライベートブランドと調理済み食品で客単価が上昇したことを理由の一つに挙げた。(c)Xinhua News/AFPBB News