【解説】ロシアの核戦力と今後の動き
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■核兵器使用の指針と現実
どのような場合に核兵器を使用するかを定めた、2020年のロシアの国家政策指針について、専門家のハンス・クリステンセン(Hans Kristensen)氏とマット・コーダ(Matt Korda)氏が米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ(Bulletin of the Atomic Scientists)」で論評している。
同指針では核兵器の使用が正当化される場合として、四条件を挙げている。すなわち、ロシアおよび同盟国が弾道ミサイル攻撃を受けたとき、敵が核兵器を使用したとき、ロシアの核兵器施設が攻撃されたとき、国家存亡を脅かす攻撃を受けたときだ。
クリステンセン、コーダ両氏は、ロシアは潜在的な敵国を前に「手をこまねいている」ことは絶対にしないというプーチン氏の発言を紹介。プーチン氏は「一瞬でも戸惑えば、たちまち後れを取ることになる」と述べたとしている。
さらに2人は、現在のロシア政府の考えは、公表されている指針の範囲をすでに超えているかもしれないと指摘した。
「例えば当局者は、弾道ミサイル防衛施設に対する核兵器攻撃や、ロシアの存続が脅かされていない地域での核兵器使用、あるいは大量破壊兵器による攻撃をあからさまにちらつかせている」
ロシアの実際の指針は「核抑止という基本をはみ出して地域紛争戦略と化し、恐怖を引き起こすことを目的とした兵器の使用すら考慮に入れている」とも述べている。(c)AFP/Didier LAURAS
