ロシア侵攻、情報戦はウクライナに軍配
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■巻き返し
黒海(Black Sea)の小さな島の警備隊員13人が、ロシアの軍艦に悪態をついたのを最後に全員戦死を遂げたとの情報もあった。ウクライナ当局は後に全員の生存を認めた。フランス・パリのウクライナ大使館は、誤情報は意図的なものではなかったとしている。
ロシアには、2016年の米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を勝たせようとして介入したのではないかとの疑惑がある。そうしたこともあり、情報戦巧者とみられていた。
だが、今回はこれまでのところ、ロシア政府の情報操作は奏功していない。
戦略国際問題研究所(CSIS)で国際安全保障プログラムを専門とするエミリー・ハーディング(Emily Harding)氏は、ロシアは「巻き返しを図るだろう」と予想する。ただ、軌道に乗るにはしばらく時間がかかるとしている。
ハーディング氏が予測するのは、「ウクライナの部隊が降伏したと思わせるような偽情報をばらまく」ことだ。
ロシアは国際世論はあまり気にしていない様子だ。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対する国内の支持を維持することに注力している。
そのため政府は独立系メディアを閉鎖。フェイスブック(Facebook)を遮断した他、ツイッターも制限した。
米クレムソン大学(Clemson University)メディアフォレンジック・ハブ(Media Forensic Hub)の主任研究員、ダレン・リンビル(Darren Linvill)氏は「(情報戦でウクライナ側が)優勢なのは本当だが、結局のところプーチン(大統領)が最も気にしているのは支持者が自分のことをどう思っているかだ」と語った。
ウクライナ側の抵抗を受けて作戦はロシアの想定以上に長引く見込みだ。情報戦も新たな局面を迎えるとみられる。
ロベール氏は、ロシア軍に制圧されるウクライナの都市が増えていけば「抵抗を続けている地域が新たな情報戦を始め、ロシア側もそれに対抗してくるだろう」と話した。(c)AFP/Joris FIORITI