【3月7日 AFP】ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、ソーシャルメディア上での情報戦ではこれまでのところウクライナが優勢と、専門家は受け止めている。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、暗殺の脅威にさらされながらも激しい爆撃が続く首都キエフにとどまっている。政府は世界の支持を得ようと情報戦に躍起だ。

 英語字幕付きのゼレンスキー氏のビデオ演説は毎日配信され、人気を集めている。国防相と外相は、洗練されたグラフィックを使ってウクライナ軍による抵抗の成果を公表する。

 ウクライナ側がミサイルでロシアのヘリコプターを撃墜した場面や、農民がロシア軍の装備をトラクターでけん引する様子など、民間人による動画も拡散されている。

 爆撃で故郷の街を破壊された市民が泣きながらがれきの中を歩く様子を自撮りした動画は、世界の人々の心を捉えた。

 ロシアの戦闘機十数機を撃墜したというパイロット「キエフの幽霊」や、ピクルスの瓶で無人攻撃機を撃墜したと言い張るキエフ在住の女性など、真偽が検証できないコンテンツもある。

 偽情報対策を手掛けるフランス企業「プレディクタ・ラボ(Predicta Lab)」の創設者、バティスト・ロベール(Baptiste Robert)氏は「初期段階では、国際世論への働き掛けにおいてはウクライナの情報戦が明らかに勝っている」と語った。

「最も印象的なのは一体感がある点だ」とロベール氏。「ウクライナの人々は今回の戦争を記録したいと強く望んでいる。何か起きれば携帯電話を取り出す」

 ロベール氏は、ツイッター(Twitter)で拡散されている親ウクライナ動画の大半は本物だとしながら、ファクトチェックの結果、事実が誇張されていたことが判明したものもあると話す。