【3月6日 AFP】ロシアによるウクライナ侵攻について、西側政府筋やシンクタンクが想定している、今後数週間から数か月間の五つのシナリオをまとめた。

1. こう着

 先月24日の侵攻以来、ウクライナ軍は首都キエフを防衛、ハリコフ(Kharkiv)など主要都市もなお統制下にある。

 西側の情報提供や軍事支援を受けて首都を死守し、一種のこう着状態に持ち込める可能性がある。

 西側による対ロシア制裁が強化されれば、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は計画を変更せざるを得なくなるかもしれない。

 米シンクタンク、ランド研究所(RAND Corporation)のサミュエル・チャラップ(Samuel Charap)氏は「西側の制裁がてことなり、ウクライナの現政権を排除し、親ロシアのかいらい政権を樹立するという、この戦争における核心的な目的をプーチン(大統領)が放棄することもあり得る」と述べた。

 そのためには習近平(Xi Jinping)国家主席の下でロシアとの同盟関係を深めている中国の圧力が必要になるかもしれない。

2. ロシア国内が変化

 プーチン大統領は、ロシア国内の反対意見に目を光らせている。

 独立系メディアや外国メディアに対する取り締まりは、侵攻に関する多様な情報を排除し、自身に忠実な国営メディアを通じた統制を強固なものにしようとするものだ。

 しかし、首都モスクワやサンクトペテルブルク(St. Petersburg)など各都市では、小規模ながら反戦デモが行われている。地元人権団体によると、少なくとも6000人が逮捕された。

 エリート層にも亀裂の兆しは見られる。一部の新興財閥(オリガルヒ)や国会議員だけでなく、石油大手ルクオイル(Lukoil)も公然と停戦や休戦を求めている。

 国内世論の反発やクーデターでプーチン政権が倒れる可能性も排除はできない。ただし、現時点でその可能性は低い。