3. ロシアの軍事的勝利

 西側の軍事アナリストは、ロシア軍の装備の優位性や空軍力、火砲の威力などを考えると、進撃は今後も続くと予想している。

 プーチン氏と3日朝に電話会談したフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の側近は、プーチン氏は「ウクライナ全土を掌握したい」と考えていると語った。

 ただ、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領を退陣に追い込み、各地の抵抗を制圧したとしても、4000万人超の人口を擁する国を占領下に置くという難題がプーチン氏を待ち構える。

 英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College London)の戦史専門家ローレンス・フリードマン(Lawrence Freedman)教授は「侵攻と占領は別物だ」と述べている。

4. 戦火拡大

 ウクライナは、北大西洋条約機構(NATO)に加盟している旧ソ連の衛星国だった4か国(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア)と国境を接している。NATOは、加盟国が攻撃されれば集団で防衛する義務を伴う軍事同盟だ。

 プーチン氏はかつてのソ連に郷愁を抱いており、バルト3国に住む少数派のロシア系住民の保護を打ち出している。さらなる領土的野心の存在を疑わせるものだ。ウクライナの次は、モルドバが眼中にあるのではないかとの見方もある。

 NATO加盟国に直接的な攻撃を加えれば核戦争につながるリスクがあり、プーチン氏もさすがに控えるだろうとみられている。ただ、それ以外の挑発行動はあり得る。

 ランド研究所のチャラップ氏は、誤爆やサイバー攻撃などをきっかけとした「事故、事件、誤算によってNATO、ロシア間の戦争に発展するリスク」を警告する。

5. NATOとの衝突は

 互いに核兵器を保有するロシアとNATOの衝突は、あり得ないと考えられていた。

 だが、プーチン氏は先月末、核戦力を「特別態勢」に移すよう指示した。

 欧州外交評議会(ECFR)のミサイル防衛専門家グスタフ・グレッセル(Gustav Gressel)氏は「こうした発言は主に西側に向けたものだ。われわれをおびえさせ、社会を不安に陥れることを狙っている」と指摘。「核抑止力を情報戦の一環として使っているだけで、実際に使う気はない」と分析した。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT and Didier LAURAS