【4月9日 AFP】ユリスニエル・カブレラ(Yurisniel Cabrera)さん(35)はキューバの名産品、葉巻の原料となる葉タバコの栽培でなんとか生計を立てているタバコ農家の4代目だ。

 1本の葉巻に10ドル(約1240円)以上を払う客もいる一方で、カブレラさんは昨年の収穫で数百ドル(数万円)しか稼げなかった。

 キューバでは政府が国営の協同組合に肥料や農薬を供給し、農家の購入価格も設定している。だが現在、制裁によって過去30年で最悪の経済危機に直面しており、肥料も農薬も不足している。

 2017年には3万2000トンだった葉タバコの収穫量は、2020年には2万5800トンに減少。今シーズンは2万2000トンに届くかどうかだという。

 キューバ産葉タバコの65%を生産している西部ピナルデルリオ(Pinar del Rio)県の他のタバコ農家同様、カブレラさんは収穫の95%を国営たばこ公社「タバクーバ(Tabacuba)」に売却する。残りは自家消費用だ。

 カブレラさんの昨年の稼ぎは8万ペソ余りだった。公式の為替相場では約3320ドル(約41万円)に相当するが、キューバの外貨取引の大半が行われる闇市場では800ドル(約9万9000円)程度にすぎない。

 父、祖父、曽祖父がそうしていたように、カブレラさんは一度乾燥させたタバコの葉を、グアバの葉、蜂蜜、ラム酒を水に混ぜた特別な調合液で愛情込めて熟成させる。

 長い時間をかけて行われるこの作業には熟練が必要だが、金銭的な見返りはほとんどない。(c)AFP/Leticia PINEDA