【3月4日 Xinhua News】中国海南省(Hainan)のヤシの実彫刻は、ヤシの実の殻、ヤシの木、ヤシの繊維を材料とする伝統的な彫刻芸術で、2008年に国家級無形文化遺産リストに登録された。同省文昌市(Wenchang)東郊鎮(Dongjiao)玉樹村の村民はかつて、主にトウガラシなどの野菜栽培や大都市への出稼ぎで家計を支えていたが、ここ数年は、地元のヤシの実彫刻産業の発展により、ヤシの実加工が村民の家計を支える新たな手段となっている。

 村民が加工したヤシの実の殻は、ヤシの実彫刻製品をデザイン、製造する工場に送られる。張必弟(Zhang Bidi)さんの会社もそのうちの1社となる。張さんは同省瓊海市(Qionghai)出身の53歳で、幼いころから自然とヤシの実彫刻に触れてきた。長年出稼ぎに出ていたが、15年に瓊海に戻り、妻と共に自らのヤシの実彫刻会社を設立。ヤシの実彫刻の電子製品や工芸品の製造に携わってきた。

 張さんと海南ソフトウエア職業技術学院は18年、ヤシ文化協同イノベーションセンターを共同で設立。「企業+学生+農家」による運営モデルを構築して「学生の雇用創出、農家の収入増、ヤシの実彫刻の発展」を実現させ、ヤシの実彫刻産業を徐々に大きく強くしてきた。

 張さんの会社には現在、大学を既卒または在学中の社員・アルバイトが20人在籍。ほとんどが近隣の農村出身者という。20歳の陳伯霖(Chen Bolin)さんは、昨年大学を卒業した後も張さんの会社に残って働いている。陳さんは数カ月前、友人とヤシの実彫刻製品のデザインとマーケティングを行う会社を新たに登記した。陳さんは「張先生は、私たちに自分の会社を開くよう励まし、産業チェーンを形成して、ヤシの実彫刻産業を大きく強くしたいと願っている。産業の発展は、農家のさらなる収入増の助けにもなる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News