【3月20日 AFP】チリ最南端のサンラファエル(San Rafael)湖に浮かぶ、10階建てのビルほどの氷塊──湖に流れ込むサンラファエル氷河に大きなひびが入り、砕け落ちてできた。地球温暖化の影響をまざまざと見せつける光景だ。

 今日、サンラファエル湖には、氷河から崩れ落ちた約100の氷塊が浮かぶ。50年前には氷河が湖面の3分の2に広がっていたが、今や氷の覆いはない。

 面積3500平方キロの北パタゴニア氷原(Northern Patagonian Ice Field)には、サンラファエル氷河を含む39の氷河がある。アイセン(Aysen)地方にある1万1000平方キロの南パタゴニア氷原(Southern Patagonian Ice Field)が合わさり、世界最大級の氷原を形成している。

 欧州宇宙機関(ESA)の衛星画像によって明らかになったのは、サンラファエル氷河が世界で最も崩壊が激しい氷河の一つであり、またパタゴニアで最も速く移動している氷河の一つだということだ。移動速度は1年で約7.6キロ。ESAは「地球温暖化の影響で劇的な後退が起きている」と指摘した。

 サンラファエルの東、アルゼンチンとチリにまたがるヘネラルカレーラ湖(General Carrera)の湖畔でヒツジとウシの小規模な酪農を営むサントス・カタラン(Santos Catalan)さんは、気候変動の最前線で暮らしている。

 過去15~20年で氷が解け、降雪が減ったために、一面真っ白だった景観が一変してしまった。「様変わりしてしまいました」とカタランさん。「暑すぎるのです」と付け加えた。

 映像は2月13~15日撮影。(c)AFP/Pablo COZZAGLIO / Alberto PEÑA