【3月3日 AFP】ウクライナの首都キエフでは、侵入を図ったロシア軍との戦闘がすでに一部で始まっている。ユリア・スニトゥコ(Yulia Snitko)さん(32)は、旧ソ連時代に建てられたアパートの地下で体を丸め、夜を過ごした。おなかの子の無事を祈りながら。

 妊娠8か月のスニトゥコさん。服を着ていても膨らみが分かる。

 近くの軍事施設が攻撃を受けた。爆発や砲撃の音が聞こえるたび、陣痛が始まってしまうのではないかと心配している。

 スニトゥコさんに取材したのは、2月26日朝だった。「早産にならないように、できるだけ落ち着こうとしている」とAFPに語った。

「夜、大きな爆発音が1時間以上続いた。とてもつらかった。何が起きているのかはっと気付いたら、全身の震えが5分ほど止まらなくなった」

 地下室には複数の家族が避難。段ボール箱とキャンプ用マットで作った仮設ベッドの上で身を寄せ合っていた。

 人口約300万人のキエフは、わずか数日間で戦場に変わった。地上は快晴だが、緊急食料品の配給に並ぶ勇気のある人はごくわずかだ。

 何人かの兵士がいた。ロシア軍は数キロ先まで迫り、グラート自走多連装ロケット砲で無差別に攻撃してくると話した。

 遠くで爆発音が響いた。突然、空襲警報が鳴りだす。歩行者は最寄りのシェルターに駆け込んだ。

 教師のイリーナ・ブチャク(Irina Butyak)さん(38)さんは、自宅アパートの地下室で20人ほどの人たちと一緒に2日間を過ごした。

 地上では警報が鳴り響いている。人々は床に敷かれたマットレスで寝ようと試みたり、椅子に座って話をしたりしていた。

 ブチャクさんはAFPに対し「あすの西部行きの列車の切符を取っているけど、乗れないと思う」と言った。

 バスは運休。キエフの地下鉄は巨大な防空壕(ごう)と化している。

「こんなことが起きるかもしれないとは思っていた。でも、ぎりぎりまで起きないことを願っていた」とブチャクさん。「最終的には常識と良識が勝つことを願っていたけど、そうはならなかった」

 年金生活者のアナトーリ・シャイドゥク(Anatoly Shayduk)さんは、怒りが収まらない様子だった。

「もう一人のヒトラー(Adolf Hitler)が(ウクライナを)掌握しようとしてる」と、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領を非難した。

「われわれは恐れていない! どれだけの若者が立ち上がり、銃を手にしたことか。私は68歳だが、銃が手に入れば戦うつもりだ」 (c)AFP/Daphne Rousseau and Dmitry Zaks