ロシアの若者、ひそかな抗議 ウクライナ国境の町
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■「この戦争は狂っている」
2人から数メートル離れて立っていた、英文学を学ぶ23歳の男性。アントンとのみ名乗った。
私服の治安要員を警戒し、「本当にAFPの記者だという証拠」を見せるよう要求した。警官がやって来て身分証の提示を求められた時も、記者の傍らを離れなかった。
アントンさんは、ロストフナドヌーの北約200キロに位置する、親ロシア派武装勢力に実効支配されているウクライナ・ルガンスク(Lugansk)の出身だという。
「周りでは誰一人(ウクライナ侵攻に)賛成していない」と打ち明けた。「誰にも死んでほしくないとみんな思っている。でも、声を上げたり、支援したりする用意があるのはごく少数だ。たいていの人はそんな心構えはできていない」
経営学を学ぶニコライ・ジマ(Nikolai Zima)さん(18)は、毒殺未遂事件に遭い、現在収監されている反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏を支持する集会に、数年前から参加していた。
徴兵されれば「戦争に行くつもりだ」と話す。
「もし攻撃されれば戦う用意はできている」と言うジマさんだが、「ウクライナや他の姉妹国相手にはごめんだ」と語った。
「この戦争は狂っている。全面的に反対だ。無関心ではいられない」と、人けのない広場に目をやりながら話した。
10代の息子と来ていたイリーナ・アロヤン(Irina Aroyan)さん(52)は、ただ一人「目印」を着けていた。それはカバンに結び付けられた、ウクライナ国旗の色を表す青と黄色のリボンだった。
アロヤンさんは元フリージャーナリストで、今は教師をしている。教え子10人のうち8人はウクライナでの戦争を支持しているという。
「残念なことに、ロシアのテレビではプロパガンダか政府寄りの番組しか見られない」と語った。
「若者の8割がプロパガンダの被害者ということ。彼らは世界で何が起きているのか全く分かっていない」(c)AFP/Andrea PALASCIANO