【2月28日 AFP】ウクライナ西部リビウ(Lviv)の工業地帯。プラウダ(Pravda)醸造所の従業員は、ロシアによる侵攻を受け、ビールの代わりに火炎瓶の製造を始めることにした。

 リビウはポーランド寄りに位置するが、いずれロシアの戦車が押し寄せてくるのではないかとの不安が広がっている。

「布によく染み込めば、準備完了」と、一人の従業員が笑顔で言った。布にはガソリン混合液が染み込ませてある。従業員はそれをビール瓶の底に押し込んだ。

 隣の従業員2人も同じ作業をしていた。

 テーブルの上には、数十本の完成品が整然と並べられている。

 火炎瓶で戦車やロケット弾に対抗できるとは思えない。だが、醸造所のオーナー、ユーリ・ザスタフニ(Yuriy Zastavny)さんは真剣だ。

「誰かがやらなければ。私たちには経験がある」と語った。ザスタフニさんは、2014年に親ロシア派政権を倒した政変の際にも火炎瓶を作ったと話した。従業員の多くが当時の反政権デモに参加したという。

 火炎瓶作りは、一人の従業員の提案で始まった。ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の呼び掛けに応じた、予備役で構成される部隊のためのもので、26日に製造を開始したばかりだ。

 郊外に設置された検問所に詰めている警察や兵士に提供されている。

 ザスタフニさんは「戦争に勝つための支援なら何でもする」と語った。(c)AFP/ Ionut IORDACHESCU