【3月2日 People’s Daily】中国気象局はこのほど、初の国家温室効果ガス観測ネットワークリストを発表した。これは40年近くの建設期間を経て、中国初の温室効果ガス観測ネットワークがほぼ完成したことを意味する。同ネットワークの構築は中国の気候変動観測・評価能力を向上させ、炭素排出ピークアウト、カーボンニュートラル行動のためのデータを持続的に提供していく。

 今回発表された温室効果ガス観測ネットワークリストには、全国の主要な気候区をカバーし、高精度観測を主とする60か所の観測所が含まれている。国家大気バックグラウンドステーション、国家気候観象台、国家・省級応用気象観測所(温室効果ガス)などからなる。その観測要素は、「京都議定書」に規定されている二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄、三フッ化窒素の7種類の温室効果ガスに及ぶ。

 青海省(Qinghai)海南チベット族自治州(Hainan Tibetan Autonomous Prefecture)の瓦里関山頂に位置する瓦里関ステーションは、世界気象機関(WMO)の全世界31の大気観測ネットワークのグローバル大気バックグラウンドステーションの1つで、ユーラシア大陸の奥地にある唯一の大陸型グローバル大気バックグラウンドステーションでもある。バックグラウンドステーションは、十分に混合した後に大気中に残存する温室効果ガス濃度を表し、かなりの地域代表性を有する。

 グローバル大気バックグラウンドステーションとして、瓦里関ステーションの観測結果は、北半球中緯度内陸部における大気温室効果ガスの濃度とその変化を代表できるという。「その温室効果ガスのデータは、『国連気候変動枠組条約(UNFCCC)』を支えるデータでもある」と、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第1作業部会の共同議長で、中国気象科学研究院の翟盤茂(Zhai Panmao)首席科学者は説明した。

 事実、早くも1981年、中央気象局は大気バックグラウンド観測の実践探索を開始し、北京の上甸子(Shangdianzi)に中国初の地域大気バックグラウンド汚染観測所を設立した。

 当時設立された複数のステーションは、すでに「天地空」一体化温室効果ガス観測システムまで発展し、中国の気候変動へのモニタリングと対応能力をさらに向上させた。「1(瓦里関ステーション)+6(上甸子、龍鳳山、臨安、金沙、シャングリラ、アクダラステーション)」の計7か所の国家大気バックグラウンドステーションの国家級温室効果ガス観測ネットワークが構築された。

「40年近くにわたる探索の蓄積を経て、わが国は大気成分観測、キャリブレーション、製品、応用、サービスを完備した業務体系を形成し、最終的に現在の温室効果ガス観測ネットワークを基本的に完成させた」と、中国気象局総合観測局の曹暁鍾(Cao Xiaozhong)局長は述べた。

「これは影響の大きい観測ネットワークになるだろう」と、中国工程院院士、中国気象科学研究院の張小曳(Zhang Xiaoye)研究員は語った。張研究員の紹介によると、ロングリードシーケンスデータと専門人材チームにより、2021年以降、中国気象局は国家級温室効果ガス・カーボンニュートラルモニタリング評価センターを設立し、複数の省(自治区・直轄市)にサブセンターを設置し、中国カーボンニュートラル行動の有効性評価システムを構築した。グローバル、地域別、都市別などの異なるスケールの自然の炭素フラックスと人為的な炭素フラックスを正確に区別し、「ダブルカーボン」目標を達成するために貢献していくという。(c)People’s Daily/AFPBB News