【2月28日 AFP】ロシアは2018年にサッカーW杯(2018 World Cup)を、2014年には醜聞も多かったソチ冬季五輪を開催し、さらに国営エネルギー大手ガスプロム(Gazprom)がサッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)のスポンサーを務めている。同国はそれらを強力な手だてとして国の世界的なイメージや、国内でのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の威信を高めてきた。

 ところが今、ウクライナへ侵攻するという大統領の判断によって、ロシアへの好意的な見方は一変。そして専門家は、国内でも大きな代償を払うことになる可能性があると考えている。

 サッカーではすでに、チャンピオンズリーグ決勝の舞台がサンクトペテルブルク(St. Petersburg)のガスプロム・アリーナ(Gazprom Arena)から変更になり、年間4000万ユーロ(約52億円)とも伝えられるガスプロムと欧州サッカー連盟(UEFA)とのスポンサー契約にも打ち切りの可能性が浮上している。

 フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)はロシアGP(Russian Grand Prix 2022)を中止し、2022年サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)についても、ロシア代表を欧州予選から除外するよう求める声が上がっている。

 国際オリンピック委員会(IOC)でマーケティング部長を務めた経験のあるマイケル・ペイン(Michael Payne)氏は、AFPに対して「スポーツは常に、社会に絶大なインパクトをもたらしてきた」と話した。

 IOCで20年近くを過ごし、組織のブランド改革とスポンサー獲得を通じた財務改善に貢献したと広くみなされているペイン氏は、プーチン大統領の今回の判断は、自国民に対する立ち位置の面でもリスクがあると話した。

「プーチンは他国からどう思われようが気にしないかもしれないが、ロシア国民の意見は気にせざるを得ない」

「国民の支持を失えばそれでおしまいだ。そしてスポーツ界の行動は、ロシア国民に対して非常に重要な影響力を持つ可能性を秘めている」

 また、英国オリンピック委員会(BOA)のヒュー・ロバートソン(Hugh Robertson)会長も、仮にスポーツ界全体からロシアが締め出しを食らえば、プーチン大統領の国内での立場にも影響が出る可能性があると考えており、「スポーツは独裁的な政権に不釣り合いなほど大きな影響を持つ」とコメント。「大会に出られなくなれば、ロシアにとっては大きな痛手だ」と続けた。(c)AFP