【2月27日 東方新報】温暖な気候と美しいビーチ、緑豊かな自然から「中国のハワイ」と呼ばれる中国南部の海南島(Hainan Island)。1月31日~2月6日の春節(旧正月、Lunar New Year)連休中、「ぜいたく旅行」を満喫する観光客でにぎわった。コロナ禍で海外旅行に行けない中、国内で「リベンジ消費」を果たしている。

 海南島の中心地・三亜市(Sanya)の高級ホテルは通常より50~130%高い「春節プライス」の宿泊料金を設定したが、満室に近い状態が続いた。人気ホテルベスト10では、目の前がビーチの「アトランティス三亜(Atlantis Sanya)」は1泊6000元(約10万9516円)。その他のホテルも1300~4000元(約2万3728~7万3011円)の価格帯だ。シェラトン神州ペニンシュラリゾート(Sheraton Shenzhou Peninsula Resort)の王虎(Wang Hu)総経理は「ホテルの稼働率は90%以上。春節連休中の売り上げでは最高記録です」と話す。

 1280元(約2万3363円)のスキューバダイビングセットが次々と売れ、1周5分で580元(約1万586円)のヘリコプター観光は搭乗者が相次いだ。埠頭(ふとう)には新規登録のヨットがところ狭しと並んでいる。

 大型免税店も連日、人だかりができた。海南島は政府の離島消費振興策で、年間10万元(約183万円)まで免税商品が購入できる。化粧品や電子製品、携帯電話、健康食品、家庭用医療機器などが飛ぶように売れ、免税店全体の売上高は前年同期比150%以上増加し21億元(約383億円)に達した。

 地元住民は「こんなにぎわいは初めて見た」と驚き、タクシー運転手の陳金勇(Chen Jinyong)さんは「観光客を乗せて毎日300キロも走っている」と話す。海南省(Hainan)によると、春節連休で前年同期を100万人上回る541万人が訪れ、観光総収入も17億元(約310億円)増の75億3000万元(約1374億円)に達した。

 三亜市観光ホテル協会の劉凱強(Liu Kaiqiang)会長は「新型コロナウイルスの規制がある程度緩和されたことと、政府の双減政策によって家族連れ客が増えた」と説明する。双減政策とは昨年7月、「学校の宿題」と「塾通い」を減らすことを政府が打ち出した「ゆとり教育」の中国版。塾通いは「減らす」と言いつつ、小中学生向けの民間学習塾は実質、経営ができなくなった。昨年までは春休み中も塾通いが続いた子どもたちが勉強漬けから解放され、家族で海南島を訪れる観光客が増えたという。「春の新学期まで客足は伸び続けるでしょう」と劉会長。海南島は「春節ウイークリー」でなく「春節マンスリー」と言えるほどの盛況ぶりが続いている。(c)東方新報/AFPBB News