【2月25日 東方新報】2月は北京冬季五輪で沸いた中国で、「鋼鉄のバラ」の愛称を持つサッカー女子代表も大きな話題となった。インドで開催されたAFC女子アジアカップで「なでしこジャパン」日本と「太極娘子」韓国を破り、5大会ぶり9回目の優勝を果たした。サッカー男子中国代表がカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で惨敗しており、「中国サッカーを救った」と称賛の声が上がっている。

 中国女子代表は2月3日のアジアカップ準決勝の日本戦で2度のリードを許しながら追いつき、最後はPK戦を4-3で勝利。6日の決勝の韓国戦も前半を0-2としながら後半に追いつき、アディショナルタイムに決勝ゴールを決める劇的な逆転料理でアジア制覇を成し遂げた。

 中国女子サッカーは、アジアカップでは初参加の1986年から7連覇を含む優勝8回を誇っていた。五輪で女子サッカーが初採用された1996年アトランタ大会では銀メダル、1999年の第3回FIFA女子世界選手権(現・女子ワールドカップ)でも準優勝。「アジア最強」と言われ、欧米の強豪を次々と倒していた。

 しかし今世紀に入ると韓国や日本と差をつけられるように。背景として「選手層が薄い」「女子サッカーをやっても金にならない」などの原因が挙げられた。技術や戦略が年々レベルアップする世界の流れに追いつけず、2011年には中国の現役代表選手が「なでしこジャパンに追いつくには10年かかる」と語っていた。

 そんな中、中国のオンライン決済サービス大手の支付宝(アリペイ、Alipay)は2019年、中国女子サッカーに今後10年間で10億元(約183億円)を拠出すると発表。「代表チームのレベル向上」「選手のけがや病気のケア」「引退後の就業支援」「技術向上とコーチの育成」を支援するとした。他のパートナー企業も増え、バックアップ態勢が整ってきた。

 今回のアジアカップでは、昨年に女性として初めて代表監督となった水慶霞(Shui Qingxia)氏の采配が光り、決勝戦では果敢な選手交代が逆転劇につながった。一方の中国男子代表は、W杯アジア最終予選で1月27日に森保ジャパンに0-2で敗戦。さらに2月1日には7戦全敗のベトナムに1-3の完敗を喫した。2月1日は中国の春節(旧正月、Lunar New Year)で、メディアやファンから「最悪の正月だ」と批判の声が巻き起こっていた。その直後の女子代表の快挙に「鋼鉄のバラが輝きを取り戻した」「ファンを救い、男子代表には平手打ちをしてやった」と称賛の輪が広がった。

 中国メディアによると、支付宝は選手に1000万元(約1億8253万円)、水慶霞監督らコーチ陣に300万元(約5476万円)の優勝ボーナスを贈ると発表。公式協力パートナーの蒙牛乳業(China Mengniu Dairy)も1000万元を支給する。中国ではサッカーはバスケットボールと並ぶ人気スポーツ。中国代表が史上最多の9個の金メダルを獲得した北京冬季五輪とともに、女子サッカーが国民に明るい話題をもたらした。(c)東方新報/AFPBB News