【2月25日 Xinhua News】中国外交部の華春瑩(Hua Chunying)報道官は23日の定例記者会見で、ウクライナ情勢に関する質問に答えた。

 華報道官は記者から「中国はウクライナ問題の解決に向け、どのような役割を果たしているのか」との質問を受け、次のように答えた。

 地域紛争問題では、中国は一貫して和平交渉を促し、平和的解決を推進するために建設的役割を果たしている。ウクライナ問題では、米国がこのところ、ウクライナに絶えず武器を輸送して緊張を高め、パニックを生み出し、戦争を吹聴しているのとは対照的に、中国は常に各国に対し、互いの安全保障の合理的懸念を尊重、重視し、交渉と協議を通じて問題を解決し、地域の平和と安定を共に守るよう呼びかけている。習近平(Xi Jinping)主席は16日、フランスのマクロン大統領と電話会談した際、関係各国が政治的解決の大きな方向性を堅持し、「ノルマンディー・フォーマット」を含む多国間プラットフォームを十分活用し、対話や協議を通じてウクライナ問題の全面的解決を図るべきだと強調した。王毅(Wang Yi)国務委員兼外交部長はこのほど、ミュンヘン安全保障会議にオンラインで出席した際に、各国がひたすら緊張を高め、パニックを生み出し、戦争を吹聴するのではなく、責任を確実に果たし、平和のために努力すべきだと強調した。

 問題の鍵は、現在のウクライナの緊張を引き起こした張本人の米国が、危機の中でどのような役を演じ、どのような役割を果たすのかにある。火に油を注ぐ一方で、消火が不十分だと人を責めるのは無責任で、不道徳だ。

 華報道官は記者から「米国や欧州連合(EU)、英国など多くの国や機関が、ロシアがウクライナに取った行動について、新たな対ロ制裁を発表した。中国はロシアに制裁を科すのか」との質問を受け、次のように述べた。

 あなたは明らかに中国政府の政策に対する基本的理解が欠如している。中国は一貫して、制裁が問題解決の根本的かつ有効な手段ではないと考えている。中国は違法で一方的ないかなる制裁にも一貫して反対している。

 米財政省が発表したデータでは、米国が科した制裁数は過去20年間で10倍増えた。前大統領の任期中の制裁は3800件に達し、1日平均3回「制裁のこん棒」を振りかざしていたことになる。2011年以降、米国の対ロ制裁は100回を超えている。しかし、米国の制裁で問題が解決しただろうか。世界が米国の制裁で良くなったのか。ウクライナ問題が米国の対ロ制裁で自然に解決するだろうか。欧州の安全が米国の対ロ制裁でさらに保障されるだろうか。やはり対話や協議を通じて問題を解決するために努力すべきではないだろうか。関係者が真摯に考えるよう求める。

 指摘したい点は、米国などの一部の国による違法かつ一方的な制裁が関係国の経済と人民生活に深刻な困難をもたらしていることだ。米国はウクライナ問題と対ロ関係の処理に際し、中国や他の各方面の正当な権益を損ねてはならない。

 華報道官は記者から「一部米メディアは中国のウクライナ問題における態度や立場が、中国が一貫して堅持する国家主権と領土保全を尊重する原則と矛盾していると見ている。こうした見方に同意するか」との質問を受け、次のように答えた。

 ウクライナ問題における中国の立場は一貫して変わっていない。中国の態度は、われわれが終始堅持している対話や協議による地域紛争問題解決の立場と合致している。中国は常に客観性と公正を堅持し、平和と正義の側に立ち、事の是非に照らして自らの立場を決定し、各国が国連憲章の趣旨と原則に基づいて国際紛争を平和的に解決するよう主張している。一部の者はウクライナ問題における中国の立場が国家主権と領土保全を尊重する原則に反していると非難しているが、これは下心があるのか、故意にわい曲、誤解しているかのどちらかだ。

 何事も道理を重んじるべきで、何事にも因果関係はある。ウクライナ問題には複雑な歴史的経緯があり、情勢の変化が今日の結果に至るまでに、さまざまな要因が作用してきた。正しく客観的に認識し、理性的で平和的な解決案を探ろうと考えるなら、ウクライナ問題の経緯を理解し、平等と相互尊重に基づき、互いの安全保障の合理的懸念を適切に解決する必要がある。一部の国はよく考えてみるべきだ。米国がロシアとの合意に背き、北大西洋条約機構(NATO)の拡大を5回も繰り返し、ロシアの目の前まで迫り、先進攻撃的戦略兵器を大量配備した時、大国を窮地に追い込むと結果がどうなるかを考えたことはなかったのか。

 現在の情勢の下、ウクライナ問題の平和的解決の扉はまだ完全には閉ざされてはいない。われわれは関係当事者が冷静さと理性を保ち、国連憲章の原則に基づき、交渉を通じて平和的に解決するために尽力することを希望する。中国は引き続き自らの方法で平和的交渉を促し、外交努力による解決を図る全ての努力を歓迎、奨励する。

 華報道官は記者から「バイデン米大統領が演説の中でウクライナに対するロシアの行動を『侵略の始まり』とした。われわれはセルビアのブチッチ大統領がウクライナの大統領に、まず米英などによるセルビアへの侵略行為を非難するよう提案したことにも留意している。これについてコメントは」との質問を受け、次のように述べた。

 ウクライナ問題には複雑な歴史的背景と経緯があり、今日の状態に至ったのはさまざまな要因が共に作用した結果だ。私はロシアがウクライナに対し、戦争を仕掛けるつもりはないと繰り返し表明し、ウクライナのNATO加盟問題について米国など関係方面と話し合う用意があると繰り返し強調したことに留意している。

 指摘すべき点は「安全保障の不可分性」の原則が1975年の「ヘルシンキ最終議定書」前文、1990年の「新欧州のためのパリ憲章」、1997年の「ロシア・NATO基本文書」、1999年に欧州安全保障協力機構がイスタンブールで採択した「欧州安全保障憲章」、2011年の「ロ米新戦略兵器削減条約」前文などに明記されたが、米国は明らかに約束を守っていないということだ。欧州安全保障構想について、ロシアが対話を提案したことにも米国は歩み寄っていない。

 中国は、各国の安全保障が共同、協力、持続可能なものであるべきで、いかなる国やグループもいわゆる安全保障上の利益の最大化を求めたりすべきでなく、ロシアの合理的な安全保障上の懸念が重視され、解決されるべきだと一貫して考えている。私はウクライナがNATO加盟を拒否し、中立を保つことが問題解決の最善の方法になるとプーチン大統領が述べたとの報道に留意している。ウクライナや米国など関係方面も戦争に突入する意思はないと表明している。これは平和的解決にまだ望みがあることを示している。まいた種は刈らなければならない。われわれは各国が自制と冷静さを保ち、安全保障の不可分性の原則実行の重要性を認識し、対話の扉を閉ざさず、交渉によって事態の緩和に尽力し、意見の相違を解消し、平和を共に守るよう希望する。

 あなたはブチッチ大統領の発言について取り上げた。他国の主権と領土保全を尊重する問題でダブルスタンダードがあってはならないと考える人が少なくないことにも留意している。多くの人が米国に問いたいと思っている。米国をはじめとするNATOがベオグラードを爆撃した際、ユーゴスラビアの主権と領土保全を尊重しただろうか。米国がありもしない罪でバグダッドを軍事攻撃した際、イラクの主権と領土保全を尊重しただろうか。米軍の無人機がカブールなどで罪のない人たちを無差別に殺害した際、アフガニスタンの主権と領土保全を尊重しただろうか。米国が世界各地で「カラー革命」を扇動、策動し、他国の内政に干渉した際、他国の主権と領土保全を尊重しただろうか。米国がこの問題に厳粛かつ真摯に向き合い、ダブルスタンダードをやめるよう希望する。

 華報道官は記者から「中国は新ミンスク合意がウクライナ情勢を解決する唯一の道だと表明したが、プーチン大統領は新ミンスク合意はもはや存在しないと述べた。これについてコメントは」との質問を受け、次のように答えた。

 ウクライナ問題が今日の状態に至ったのはさまざまな要因が共に作用した結果で、その中で新ミンスク合意がいつまでも効果的に実行されなかったことも密接に関係している。情勢が今日の状態に至っても、われわれは依然として、各国が自制を保ち、対話と協議を通じて事態を緩和し、情勢のさらなるエスカレートを避けるよう希望する。(c)Xinhua News/AFPBB News