【2月26日 AFP】バチカンのサンピエトロ大聖堂(St Peter's Basilica)にある聖母子像「ピエタ(Pieta)」は、イタリア・ルネサンス期の巨匠ミケランジェロ(Michelangelo)の傑作と称賛されているが、ミケランジェロは他にもピエタ像を残している。

 伊フィレンツェ(Florence)にあるドゥオーモ付属博物館(Opera del Duomo Museum)で今週から、ミケランジェロが手掛けたピエタ像3作品を初めて一堂に集めた展覧会が開催されている。

 同美術館所蔵の「フィレンツェのピエタ(Florentine PietaBandini Pieta)」に加え、バチカン美術館(Vatican Museums)から貸し出された「サン・ピエトロのピエタ」と「ロンダニーニのピエタ(Rondanini Pieta)」それぞれの複製の計3点だ。

 ピエタとは、聖母マリア(Virgin Mary)が息子イエス・キリスト(Jesus Christ)の遺体を抱きかかえ、その死を嘆いている姿を表現する主題を指す。

「サン・ピエトロのピエタ」は、ミケランジェロがまだ25歳にもならないときに完成させた作品で、同時代の人々は、うねるようなドレープに身を包んだ聖母の美しさに目を奪われた。1972年には見学者によって一部が破壊され、修復後は防弾ガラスで保護されている。

「フィレンツェのピエタ」は、ミケランジェロが72歳の時に制作が開始された。うつ状態に苦しんでいたこの頃のミケランジェロは死が近いことを確信し、清貧の誓いを立て、信仰を生活の中心としていた。この像はミケランジェロ自身が出来栄えに満足できずに一部を破壊したとされ、修復後もその痕跡が残っている。

「ロンダニーニのピエタ」は1552年頃、80歳を前にして手掛けた作品。高さ約2メートルの驚くほどモダンな裸像で、ミケランジェロが1564年に88歳で亡くなるまで制作を続けていたローマの自宅で発見された。

 ドゥオーモ付属博物館のティモシー・バードン(Timothy Verdon)館長は、この3作品を並べることで「最初のピエタ像から他の2作品を制作するまでの50年間にミケランジェロの作風がいかに進化したかという点と、最後の2作品の間にあるより大きな変化を検証することができる」と述べている。

 会期は8月1日まで。(c)AFP/Gildas LE ROUX