【2月21日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)親衛隊の幹部でホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大虐殺)の実行責任者だったアドルフ・アイヒマン(Adolf Eichmann)の戦争犯罪を追及したイスラエルの元検事、ガブリエル・バッハ(Gabriel Bach)氏が死去し、20日に埋葬された。94歳。

 イスラエル司法当局によると、バッハ氏は18日に死去した。死因は明らかにされていない。

 アイヒマンは、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)が指示した欧州のユダヤ人絶滅計画「最終解決(Final Solution)」の実行を主導した一人。1960年、偽名で南米アルゼンチンに潜伏していたところを、イスラエルの対外特務機関モサド(Mossad)に強制連行された。

 当時、若き次長検事だったバッハ氏は、ピンカス・ローゼン(Pinchas Rosen)法相から直々に電話を受け、アイヒマン裁判の捜査を担当するよう依頼されたという。

 1961年4月に始まった裁判ではギデオン・ハウスナー(Gideon Hausner)検事総長が主任検察官を務めたが、数か月に及んだ捜査を指揮したのはバッハ氏だった。同氏は、イスラエル北部の刑務所を空っぽにしてアイヒマンを拘束し、警官約40人を率いて尋問と証拠収集に当たった。

 バッハ氏は後年、ユダヤ人大量虐殺の「大義」に固執するアイヒマンの姿が忘れられないと述べ、裁判の一場面や証拠などを「思い出さない日はなかった」と語っている。

 バッハ氏は独ベルリン生まれ。1938年に家族と共に国外に避難し、英委任統治下のパレスチナに移住した。1982年から定年退職するまでイスラエル最高裁判事を務めた。(c)AFP