■在庫分が底を突いたら…

 イランでは書籍の価格が固定されているため、もうけは急激に変動する紙の価格次第だ。

「原稿を受け取り、レイアウトを決め、本の値段を設定している間に紙の価格が突然上昇したら、もうけがゼロになることもあり得ます」とハシェミネジャッド氏は言う。

 イランの書店は一見したところ、世界中の書店と変わらない。国内作家の棚はもちろん、外国作品を含む人気書籍のコーナーには、20世紀の欧州の名作から自己啓発や心理学の本まで並ぶ。

 最近、売れ行きが良かったのは、トランプ前米大統領のめい、メアリー・トランプ(Mary Trump)氏が書いた叔父に関する暴露本や、ミシェル・オバマ(Michelle Obama)元米大統領夫人の回想録のペルシャ語訳などだ。

 しかし経済危機が深まるにつれ、小規模出版社の一部は廃業を余儀なくされた。一方、大手出版社は生き延びるために適応を強いられた。

 今はまだ用紙の価格高騰前に印刷した在庫分で持っている。だが、「2~3か月で在庫分が底を突いたら、読者は新しい値段を見てショックを受けるだろう」とハシェミネジャッド氏は懸念する。

 専門家によると、コスト上昇による影響はさらに広範に及びそうだ。もともと本を入手しにくい貧困地域の子どもたちは、間もなく本を一切買えなくなってしまうだろうとハシェミネジャッド氏は話した。(c)AFP/Ahmad Parhizi