■予想される処分

 ワリエワは現在16歳未満のため、WADAの規定では「要保護者」に当たる。

 この立場だと処分が軽減される可能性があり、通常4年間の資格停止が、警告もしくは最長でも2年間の資格停止にとどまることが考えられる。

■ロシアへの影響は?

 2014年のソチ冬季五輪をピークとした大規模な国家ぐるみのドーピングで、ロシアは制裁を受けている最中だ。

 IOC幹部のデニス・オズワルド(Denis Oswald)氏は、ワリエワのケースについて、自身が調査を監督したソチ五輪の組織的ドーピングとは別物との見解を示している。

 しかし、ワリエワのコーチや相談役ら周囲の関係者については調査が進行中で、RUSADAはすでに陣営の調査を開始したことをほのめかしている。WADAも独自にワリエワ陣営を調査する意向を示している。

■ロドチェンコフ反ドーピング法適用の可能性は?

 今回の疑惑に関与したロシア関係者に対し、米国が訴追に踏み切る可能性も示されている。

 2020年に制定された「ロドチェンコフ反ドーピング法(Rodchenkov Anti-Doping Act)」の下では、米国のアスリートや放送局、スポンサーが関係した国際大会でドーピングに関与した人物に刑事罰を科すことができる。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は前週、AFPの取材に対して、ソチ五輪におけるロシアの組織的ドーピングを告発したグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏の名前から付けられたこの法律が、ワリエワの問題にも適用可能だと指摘した。(c)AFP/Rebecca BAILEY