【2月27日 AFP】目の前いっぱいに太平洋が広がるブラジルのリゾートタウン、アタフォナ(Atafona)。しかし、今や海辺にはがれきと化した家屋が並び、ハゲワシもうろついている。海面が容赦なく上昇し、海岸線を世界の終末さながらの景観に変えてしまったのだ。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の北に位置する人口約6000人のこの小さな町では、以前から深刻だった海面上昇による浸食が、今では年平均6メートルにも及んでいる。

 これまで海に沈んだ家屋は、500軒以上に上る。かつての美しくのどかな海岸線は、壊れた家々の海中墓地となった。

 ジョアン・ワケドペイショト(Joao Waked Peixoto)さんも、家を失いそうな住民の一人だ。

 以前は隣家だったというがれきの中を歩きながら、ワケドペイショトさんは目を落とした。周囲には、むき出しになった部屋の青い壁、ばらばらになった雑誌、自転車、さまざまな生活用品が散乱している。

「私たちがいつこの家から出なければならなくなるのか。それは分かりません」

 ワケドペイショトさんはさらにこう続けた。「半月で(海面が)さらに3~4メートル迫ってきました。うちの壁は来週まで持たないかもしれません」 (c)AFP