【2月17日 AFP】フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア五輪委員会<ROC>)は、氷上では15歳らしからぬ落ち着きと大人っぽさを見せるが、北京冬季五輪のドーピング問題では10代の危うさも露呈した。女子フィギュア界では今、年齢制限や若いアスリートが十分に守られているかどうかについての議論が再燃している。

 女子フィギュアスケートは以前から選手が若い傾向にあり、直近の五輪7大会で10代選手が6個の金メダルを獲得している。

 今大会も例外ではなく、女子シングルは15歳のワリエワに加え、17歳のアレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova)とアンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova)のROC勢による表彰台独占が有力視されている。

 3人を指導するのはエテリ・トゥトベリーゼ(Eteri Tutberidze)氏。複雑化する離れ業のできる10代のロシア選手を次々に輩出し、ここ8年間における女子フィギュア界の進化をけん引してきた。

 しかし、トゥトベリーゼ氏の門下生をめぐっては、華麗な技術が思春期になると衰え、それがきっかけで燃え尽き症候群やけがに苦しみ、最終的には用済みのような扱いをされているのではないかというきらいがある。

 東ドイツ代表として1984年と88年の五輪で金メダルを獲得したカタリナ・ヴィット(Katarina Witt)氏は、「使い捨て社会」という言葉で女子フィギュア界を表現する。

「なぜ15、16歳のロシア選手が並外れた演技で五輪で勝ち、その後は大抵健康上の問題で競技の世界から去るのか何年も問い続けてきた」と自身のフェイスブック(Facebook)につづったヴィット氏。シニア大会の年齢制限を15歳から引き上げるよう求めているが、この案は以前から提起されているものの実現していない。

 米国の女子フィギュア選手としては1928年以降で最年長となる、25歳で今大会に出場しているマライア・ベル(Mariah Bell)は、年齢制限の変更に「全面的に」賛成だという。スイスのアレクシア・パガニーニ(Alexia Paganini)は、年齢制限の引き上げは「ベテランのモチベーションになる」と話し、英国のナターシャ・マッケイ(Natasha McKay)は故障リスクが軽減すると指摘した。

 トゥトベリーゼ氏の門下生はこうした懸念を裏付けており、これまで五輪に複数回出場した選手は一人も生まれていない。