■ザギトワ、4回転は「危険すぎる」

 トゥトベリーゼ氏の教え子の一人で、当時15歳で2014年ソチ冬季五輪の団体戦で金メダルを獲得したユリア・リプニツカヤ(Julia Lipnitskaia)は、多くの批評家がその後の活躍を予想したが、3年後に引退した。

 2016年に脚の大けがをしたのをきっかけに、最後まで全盛期の状態を取り戻せなかった。引退に際しては、拒食症の治療を受けていたことも明かした。

 続く2018年平昌冬季五輪では、またしてもトゥトベリーゼ氏に師事する10代のロシア人選手2人が表彰台に上がった。

 この大会ではアリーナ・ザギトワ(Alina Zagitova)が金メダル、エフゲニア・メドベデワ(Evgenia Medvedeva)が銀メダルに輝いたが、彼女たちも北京五輪には出場していない。

 ザギトワとメドベデワは、4回転ジャンプを跳ぶことができるワリエワ、トゥルソワ、シェルバコワの3人にはかなわないと話す。専門家によると、4回転ジャンプは思春期を迎えていない、体重が軽くて空中での動きが速い若い選手の方が簡単に跳べるという。

 ザギトワは以前、自身が4回転ジャンプを跳ぶのは「危険すぎる」とし、挑戦するのであれば体重を落とす必要があると話していた。

 一方のメドベデワは相次ぐ故障に悩まされ、22歳の若さにして、背中のけがで片方にしか跳べなくなってしまったと明かしている。

 北京五輪にはテレビキャスターとして関わっている19歳のザギトワは、フィギュアスケートを見るのはつらいという。「まだ当時と同じ感覚が魂に残っている。まるで自分が氷の上にいるような高揚感がある」と明かす。

 シェルバコワとトゥルソワには今季、けがを押して滑っているのではないかという臆測がついて回っている。

 だが15日のショートプログラム(SP)で2位につけたシェルバコワは、コーチのやり方は厳しすぎるのではないかと問われると反発。「私は9歳から彼女のグループにいる」と顔をしかめ、「コーチを変えていないということは、私はこのコーチが好きだということ。私たちはお互いにとって有益な存在。見て分かると思うが、一緒に多くのことを成し遂げている」と話した。(c)AFP/Rebecca BAILEY