【2月16日 AFP】北京冬季五輪で、ロシア五輪委員会(ROC)のフィギュアスケート女子代表、カミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、15)が、禁止薬物陽性となったにもかかわらず出場を許可されたことを受け、ライバル選手は今回の騒動のために晴れ舞台を台無しにされたくないとの思いでいる。中には「不公平だ」と不満を漏らす選手もいる。

 金メダル候補と目されていたワリエワ。開幕から1週間後、持久力を高める効果がある禁止薬物「トリメタジジン(Trimetazidine)」の陽性反応が昨年12月に出ていたことが判明した。しかし、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日、出場継続を容認。ワリエワは15日に行われた女子シングル・ショートプログラム(SP)で首位に立った。

 SPの競技終了後、CAS裁定について聞かれた、2位につけたROCのアンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova)はコメントを控えた。

 3位の坂本花織(Kaori Sakamoto)も「今、競技をすることに必死」「そういうことは考えないようにしている」と答えるにとどめた。

 一方、米国のアリサ・リウ(Alysa Liu、16)は「ドーピングをした選手がクリーンな選手と競うのはどうみても不公平」と語った。

 英国のナターシャ・マッケイ(Natasha McKay)も「公平な競争の場ではないのは明らか。スポーツは公平でないといけないのに、それが保証されていない」と話した。

 ワリエワは今後、ドーピング違反で罰則が科される可能性もある。国際オリンピック委員会(IOC)は、17日に行われるフリースケーティング(FS)の結果、ワリエワが総合で3位以内に入った場合、メダル授与式は実施しないと決めている。

 先週の団体戦で、ワリエワはROCを1位に導いたが、ドーピング問題が解決するまでは団体戦のメダルも授与されない。2位米国のカレン・チェン(Karen Chen)は、この決定について「チームで一緒に表彰台に上がり、その瞬間を共にすることをとても楽しみにしていたのに」と、落胆した様子だった。(c)AFP/Diane FALCONER, Rebecca BAILEY