【2月19日 AFP】アフリカのルワンダとコンゴ民主共和国にまたがるキブ湖(Lake Kivu)には、浮体式発電所が設置されている。昨年5月、コンゴ側の火山が大噴火を起こし、激震が湖水を揺さぶったとき、技術者らはただ不安げに見守るしかなかった。

 彼らが恐れたのは、ニーラゴンゴ山(Mount Nyiragongo)から噴き出る溶岩流ではなく、キブ湖に大量に存在する高濃度の爆発性ガスだ。

 キブはアフリカ大陸の大地溝帯(Great Rift Valley)にある湖沼の一つ。緩やかな緑の丘陵が湖面に映る景観は穏やかに見える。

 だが、実態はその穏やかさとはかけ離れている──そう語るのは、湖沼学者で、湖水から抽出したガスを利用する電力会社キブワット(KivuWatt)で環境管理を担当するフランソワ・ダルシャンボー(Francois Darchambeau)氏だ。

 数千年にわたる火山活動の結果、キブ湖の深層堆積物には大量のメタンや二酸化炭素(CO2)が蓄積されている。万が一、そのガスが噴出すれば、途方もない破壊力を持つことになる。

 いわゆる「淡水湖沼噴出」と呼ばれる現象が起きれば、「深層部から湖面にかけてガスの大爆発」が発生し、大波と毒ガス雲により数百万人の命が危険にさらされるとダルシャンボー氏は述べた。

「私たちはこれをキラーレーク(殺人湖)と呼んでいます」と同氏は続けた。こうした湖は世界に三つある。カメルーン北部のニオス(Nyos)湖とマヌーン(Monoun)湖、そしてキブ湖だ。