【2月15日 AFP】フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア五輪委員会<ROC>)が、薬物検査で陽性だったにもかかわらず北京冬季五輪での競技継続が認められたことを受け、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は14日、五輪がロシアに「ハイジャック」されていると批判した。

 スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定で15歳のワリエワが北京五輪の個人戦に出場することが容認されると、タイガート氏は発表文で今回の騒動に巻き込まれた同選手に同情を寄せた。

 そして、持久力を促進する効果がある禁止薬物のトリメタジジン(Trimetazidine)が検出された同選手の出場続行が認められるべきだったかどうかは、「時間がたてば分かる」との認識を示した。

 その一方で、ワリエワが後日失格になれば、CASの裁定が「再びロシアが五輪を汚すのを認める」ことになると指摘し、「どちらにせよ、ロシアは6大会連続で五輪をハイジャックし、クリーンなアスリートと公衆から機会を奪っている」と批判した。

 ワリエワの検体の分析は、ロシア選手権(Rostelecom Russian Nationals 2022)期間中の昨年12月25日に採取されてから6週間遅れで行われた。

「五輪の数週間前に採取されたこの検体をロシアが適切に処理していれば、あす(15日)から始まる女子の個人戦が正当な競技であるかどうか、そしてフィギュアスケートの団体戦で彼女(ワリエワ)の滑走が認められるべきだったかどうか、われわれは知ることができたはずだ」

「ロシアが規則に従っていれば、われわれはフィギュアスケート団体戦の結果を明確に知っていたはずであり、この種目に全力を尽くしたアスリートたちも、自分たちにとって本当にふさわしい表彰式の瞬間を経験できていただろう」 (c)AFP