【2月14日 AFP】(更新)北京冬季五輪に出場しているフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア五輪委員会<ROC>)がドーピング検査で陽性反応を示した問題で、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日、五輪出場の継続を認める裁定を下した。

 国際オリンピック委員会(IOC)や世界反ドーピング機関(WADA)、国際スケート連盟(ISU)が、ワリエワに対する資格停止処分の復活を求めていたが、CASは訴えを退けたことを発表した。

 ロシアの神童ワリエワは、これで金メダル候補に挙がっている15日からの女子シングルに出場できる。

 CASは15歳のワリエワが「保護対象となる」、つまり未成年であることなど「例外的な状況」を考慮して判断を下した。マシュー・リーブ(Matthieu Reeb)事務総長は記者会見で、資格停止にすれば「重大な損害」が生じると話した。

 ROCがCASの判断を称賛する一方で、米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は「今回の決定が発するメッセージに失望している」と発表した。

 USOPCは「今回の件も、ロシアにクリーンなスポーツを軽視する姿勢が組織的にまん延していることを示している」と話している。

 ワリエワは、ロシア選手権(Rostelecom Russian Nationals 2022)期間中の昨年12月25日に採取された検体から禁止薬物のトリメタジジン(Trimetazidine)が検出された。トリメタジジンは狭心症やめまいの治療に用いられるが、血流の効率を高めて持久力を上げる効果があるため、WADAが禁止している。

 スウェーデン・ストックホルムにあるWADA公認の検査所で、陽性が確認されたのは提出から6週間後の今月8日。結果を知らされたロシア反ドーピング機関(RUSADA)は暫定資格停止処分を下したが、ワリエワ側の異議が認められて翌9日に処分が解除された。

 ワリエワはその前に行われた団体戦の女子シングルで圧巻の演技を見せ、ROCの金メダル獲得に貢献していた。(c)AFP/Guy JACKSON