『アメリ』の仏監督、新作をネトフリ配信
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【2月16日 AFP】フランスのジャンピエール・ジュネ(Jean-Pierre Jeunet)監督の『アメリ(Amelie)』は、今世紀最も有名なフランス映画とも言われている。しかし、新作では資金調達に難航し、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)で公開することに決めたと、監督は話す。
資金調達に苦労する映画監督が増える中、ネットフリックスはマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)、アルフォンソ・キュアロン(Alfonso Cuaron)、ジェーン・カンピオン(Jane Campion)といったそうそうたる監督を引き抜くことに成功している。
人類とロボットの戦争を題材にしたジュネ監督のディストピア・コメディー『ビッグバグ(BigBug)』は先週、ネットフリックスで公開された。
「フランスでは誰も私の新作をやりたがらなかった。まったく落ち込んでしまうところだった」とジュネ監督はAFPに語った。「風変わりすぎて、超然としすぎているからリスクが大きすぎる──『デリカテッセン(Delicatessen)』(1991年のデビュー作)や『アメリ』のときと同じようなことを言われた」
そんなとき、ネットフリックスからタイミングよく電話が来て「24時間以内にイエスと言ってくれた」と言う。
フランスでは、映画が劇場で公開されてからストリーミングが可能になるまでの期間が厳しく定められている。この壁に直面していたネットフリックスは、フランス側から譲歩を引き出すため、仏映画界に資金をつぎ込んでいる。
■「ばかにされた」
フランスの映画スタジオのために公平を期すと、『ロング・エンゲージメント(A Very Long Engagement)』(2004年)や『天才スピヴェット(The Young and Prodigious T.S. Spivet)』(2013年)など、最近のジュネ監督の作品は以前ほどは成功していない。
ジュネ監督は、外国のストリーミングサービスが金をつぎ込んでいることに苦言を呈しながらも、自身の最近の作品が振るわないのは、仏映画界も同様に金に執着する偽善者だからだと非難する。
「マーケティングがすべての力を握っていて、物事を決めるのはビジネススクール出の連中だ。そうした連中に映画の作り方を指示されるんだ」「連中は映画が公開されるとすぐに、チケットが何枚売れたかに注目する。200枚しか売れていなかったら大惨事だ。だが(ネットフリックスには)潜在的な視聴者が5億人いる。その1%が見てくれるだけでも大した数だ」
「ネットフリックスと契約したと知ると、みんな私をばかにして、やめるべきだと言った。けれど今ではみんなが同じようにしたいと言って電話をかけてくる」