【2月27日 AFP】イラン人の元受刑者2人が、借金を返済できずに収監された人々を救おうと「監獄」レストランを開業し、評判を呼んでいる。

 着想を得たのは、刑務所の中だった。

「私たちが知り合ったのは警察の留置所です」とベンヤミン・ナカート(Benyamin Nakhat)さん(31)は話す。首都テヘランで鉄を扱う仕事をしていたが破産してしまったのだという。

 今やビジネス上のパートナーとなった輸出商のアルマン・アリザデ(Arman Alizadeh)さん(30)も当時、借金で苦しんでいた。

 イランの法律は、小切手の不渡りや、結婚持参金の未払い、銀行融資の未返済には容赦ない。支払いが済むまで債務者は収監されることになっている。

 当局によると、そうしたケースが理由で収監されている人々は現在、イランで1万1000人を超える。

 ナカートさんとアリザデさんは、出所してから2年後の2016年に「第16号監房(Cell 16)」という名のレストランを開業した。それぞれのテーブルは鉄格子で仕切られている。

「刑務所に入っている人々の中には、罪を犯したというより、運が悪かった人もいます。誰でもそういう目に遭う可能性があります」とナカートさんは言う。

 ソーシャルメディアの後押しもあり、レストランは繁盛している。

 2人は、自分たちと同じような理由で収監されている人々のことを常に気に掛けている。アリザデさんは、「時に寄付を募ったり、客に支援を求めたりしながら、負債を抱えた受刑者を支援しています」と語る。店の売り上げの一部も支援のために使われている。

 友人2人と一緒に来たという客はピザを食べながら、「この店がオープンした時から来ています」と話した。「料理もおいしいけど、刑務所に入れられた人々を助けたいのです」 (c)AFP/Ahmad Parhizi and Sammy Ketz