【2月9日 AFP】ローマ・カトリック教会の前教皇ベネディクト16世(Benedict XVI、94)は8日、自身の管理下にあった大司教区で聖職者による児童性的虐待が発生した問題をめぐり許しを請う書簡を発表した。一方、側近は、児童虐待を隠蔽(いんぺい)したとの疑惑については否定している。

 聖職者による児童性的虐待問題をめぐっては先月、ベネディクト16世がドイツのミュンヘン(Munich)の大司教を務めていた1977~82年に、聖職者4人が児童性的虐待で告発されたものの、対応を怠ったとする報告書が出されている。

 ベネディクト16世はバチカン(ローマ教皇庁)を通じて書簡を発表。その中で「性的虐待のすべての被害者の方々に対し、わたしは改めて深く恥じ入るとともに、大きな悲しみを表明し、誠実に赦(ゆる)しを乞うことしかできない」と述べた。

 また「私はカトリック教会において大きな責任を負っていた。自分が役職にあった特定の場所、時代において明らかになった虐待事件と過ちを前に、その苦しみはさらに深いものである」としている。

 しかし、犠牲者の代表団体は、ベネディクト16世の書簡は具体性に欠けていると非難している。

 ドイツの虐待被害者擁護団体「エッキガー・ティッシュ(Eckiger Tisch)」は、ベネディクト16世は「行為と過失があっても、誰も具体的に責任を取らない」カトリック教会の従来の対応を続けていると指摘した。

 ベネディクト16世の側近は8日、前教皇はいかなる児童性的虐待の隠蔽行為もしていないと主張した。(c)AFP/Alice RITCHIE / Ella IDE