【2月9日 AFP】第94回アカデミー賞(Academy Awards)候補が8日発表され、ジェーン・カンピオン(Jane Campion)監督がゴシック調で描いた西部劇『パワー・オブ・ザ・ドッグ(The Power of the Dog)』が監督賞や作品賞など最多12部門にノミネートされた。

 昨年は新型コロナウイルス流行で映画館から遠ざかっていた客足が徐々に戻る中、多くの大作が公開され、アカデミー賞レースは混戦となった。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)のオリジナル作品。カンピオン監督は28年前に『ピアノ・レッスン(The Piano)』でも監督賞候補になっており、女性監督が同賞に2度ノミネートされたのは初。俳優陣も、ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)が主演男優賞、キルステン・ダンスト(Kirsten Dunst)が助演女優賞、ジェシー・プレモンス(Jesse Plemons)とコディ・スミット=マクフィー(Kodi Smit-McPhee)がともに助演男優賞にノミネートされた。

 次いでSF大作の『DUNE/デューン 砂の惑星(Dune)』が作品賞など計10部門でノミネートされた。ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)監督が自身の幼少期を描いた白黒作品『ベルファスト(Belfast)』、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督が名作ミュージカルをリメークした『ウエスト・サイド・ストーリー(West Side Story)』がそれぞれ、作品賞と監督賞を含む7部門でノミネートされた。

 その他、監督賞には『リコリス・ピザ(Licorice Pizza)』のポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson)監督、『ドライブ・マイ・カー(Drive My Car)』の濱口竜介(Ryusuke Hamaguchi)監督がノミネートされた。『ドライブ・マイ・カー』は、3時間におよぶ外国語作品としては異例となる作品賞候補にも入った。

 主演男優賞には、大方の予想通り、『ドリームプラン(King Richard)』で女子テニス選手のセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams)さんとヴィーナス(Venus Williams)さん姉妹の父親を演じたウィル・スミス(Will Smith)がノミネートされた。同作は計6部門の候補に挙がっている。

 主演男優賞には加えて、『マクベス(The Tragedy of Macbeth)』のデンゼル・ワシントン(Denzel Washington)、『tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!』のアンドリュー・ガーフィールド(Andrew Garfield)、『愛すべき夫妻の秘密(Being the Ricardos)』のハビエル・バルデム(Javier Bardem)が候補に挙がっている。

 主演女優賞には『タミー・フェイの瞳(The Eyes of Tammy Faye)』のジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)、『ロスト・ドーター(The Lost Daughter)』のオリヴィア・コールマン(Olivia Colman)、『Parallel Mothers(英語原題)』のペネロペ・クルス(Penelope Cruz)、『愛すべき夫妻の秘密』のニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、『スペンサー ダイアナの決意(Spencer)』のクリステン・スチュワート(Kristen Stewart)がノミネートされた。

『ハウス・オブ・グッチ(House of Gucci)』で主演を務めたレディー・ガガ(Lady Gaga)は予想外にも候補入りを逃し、同作のノミネートはメーキャップ・ヘアスタイリング賞の1部門だけにとどまった。

 授賞式は3月27日に行われる。(c)AFP/Andrew MARSZAL