【2月9日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)宝興県(Baoxing)磽磧チベット族郷は中国で「パンダ村」と呼ばれている。村民が野生のパンダとばったり出合うことが珍しくないためだ。

 宝興県は181頭の野生パンダが生息し、県面積の81.7%がジャイアントパンダ国家公園エリアに入っている。その中でも山あいに位置する磽磧チベット族郷では、エサが少ない冬の時期や繁殖期の春の時期など、山林や山道をうろうろするパンダをたびたび見かける。

 村民の天宝(Tian Bao)さんは「実家で牛の放牧をしていた時、1日に9頭のパンダを見た」と話す。宝興県のほとんどの山を登ったことがある自然保護区のスタッフ高華康(Gao Huakang)さんは野生パンダの出産シーンを撮影したことがある。

 地元で民宿を経営する植春玉(Zhi Chunyu)さんは「パンダを抱っこしたおばさん」として有名だ。数年前、山で山菜採りをしていると子どものパンダが突然、木の上から落ちてきた。病気のようで、植さんは山菜入れ用のカゴにパンダを入れて背負い、自宅に着いてから近くの保護区に連絡した。体重20キロ超のパンダは植さんたちが自分を助けてくれていると分かったようで、とてもおとなしかったという。そしてパンダが植さんから離れようとしない姿を高華康さんが写真に撮り、ネットで拡散されて一躍有名人となった。

 ただ、基本的にはパンダに干渉しないのが村のルールだ。村民の能卡曼(Neng Kaman)さんは「パンダも他の動物も、みんな隣人。互いに尊重し、一定の距離を保ってそれぞれ暮らしている」と話す。パンダを助けた植さんも、パンダが落っこちてきて10分ほどは様子を見て、近くに親のパンダがいないと確認してから近づいている。

 天宝さんによると、1960年代にはパンダが村の民家に押し入り、鍋を倒したり作物を食べたりすることがあった。天宝さんの父親はパンダにかまれ、治療が遅れて敗血症で死亡している。

 野生パンダが生息する地域では、村人たちの過剰な伐採や狩猟によりパンダの生態系が脅かされる時期もあった。近年は各地の村で養蜂などの産業が活発となり、自然保護も進んでいる。天宝さんは「今は村人とパンダの程よい関係ができている」と話す。地元では野生パンダの姿を見ると、「縁起が良い」と言うようになっている。(c)東方新報/AFPBB News