【2月7日 AFP】ロシアと欧米諸国の緊張が強まる中、北大西洋条約機構(NATO)加盟国エストニアのロシア国境付近で、NATO部隊による積雪寒冷地での定期演習が実施された。

 ロシア国境からわずか100キロ、エストニア北東部の森林地帯で行われたこの「冬季訓練」には、極限の気象条件下で任務を遂行する英国、エストニア、フランスの部隊から兵士約1300人が参加した。

 ロシアは現在、ウクライナ周辺で兵力を増強する一方、ポーランドおよびエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国からNATO部隊を撤退させるよう要求している。

 旧ソ連のエストニアのロシア国境には今のところ脅威はないとみられているが、人口約130万人のエストニア国民の多くは不安を抱いており、中欧および東欧諸国にも同様の懸念が広がっている。

 演習に参加したエストニア軍の司令官は「ウクライナで起きていることはしっかり把握しているが、われわれは通常通りの任務に当たっているだけだ。現時点で、臨戦態勢を強化する必要性は目にしていない」と述べた。

 ロシアによる2014年のクリミア(Crimea)併合後、NATOはポーランドとバルト3国に多国籍部隊から成る「強化された前方プレゼンス(Enhanced Forward Presence)」を展開している。

 仏軍約300人の部隊を統括する幹部は「われわれはエストニア国民にとっての生命保険」であり、「ロシアを挑発するためにここにいるのではない。われわれの部隊の派遣には予防的、抑止的な狙いがあり、好戦的姿勢を示すものではない」と語り、今回の演習についてもロシアに事前通告していると説明。「だが前線に立つ準備はできており、援軍が来るまで持ちこたえることは可能だ」と述べた。

 映像は5、6日撮影。(c)AFP/Daphné BENOIT