【2月8日 AFP】7日に行われた北京冬季五輪のスキージャンプ混合団体では、スロベニアが圧倒的な強さで初代王者となったが、高梨沙羅(Sara Takanashi)ら女子選手5人がスーツの規定違反を取られるという前代未聞の展開となった。

 空中で選手にアドバンテージを与えるとされる緩いスーツで失格となったのは、高梨に加え、ドイツやノルウェー、オーストリアの選手だった。スキージャンプで選手が失格になるのは珍しくはないものの、一つの種目でこれほど多くのケースが出るのは異例となる。

 男子ノーマルヒルを制した小林陵侑(Ryoyu Kobayashi)を筆頭とする日本は、1回目のジャンプで高梨が失格になった逆境を乗り越えて2回目に滑り込み、見事4位に入った。

 女子ノーマルヒルで優勝候補に挙げられながらも4位に終わった高梨は、2回目のジャンプで着地した後、思わず涙を流していた。

 チームメートの佐藤幸椰(Yukiya Sato)は「いろいろな五輪を見てきたけれど、こんな五輪は初めてなのでびっくりしている」とした上で、「それだけ多くのルールの下でジャンパーは準備している。勝負しての結果なので、こういうことがあっても不思議ではない」とコメントした。

 世界選手権(FIS Nordic World Ski Championships)で混合団体を4度制しているドイツも、カタリナ・アルトハウス(Katharina Althaus)が同じ違反で失格となり、1回目で敗退した。

 失格を知って号泣したアルトハウスは独スポーツ通信社SIDに対し、国際スキー連盟(FIS)への不満を口にした。

「今回の五輪で、(女子の)二つ目の種目が行われるのをとても喜んでいた。今回の運営で、FISは全てを水の泡にした。彼らは女子のスキージャンプを台無しにしていると思う。彼らが何をやろうとしているのか分からない」

「11年間のスキージャンプ人生で何度もチェックを受けたけれど、失格になるなんて一度もなかった。自分のスーツが規定に準拠しているのは分かっていた」

 ドイツ男子チームの監督を務めるシュテファン・ホルンガッハー(Stefan Horngacher)氏は、「もちろん、深く失望しているが、規則は受け入れなければならない」としながらも、「選手たちは前日と同じスーツを着ていて、そのときは何も問題なかったので、とにかく奇妙だ」と述べた。

 さらに「冬季五輪でこんなことが起きて困惑している。全てを前もって明確にしておくべきだ」とし、「競技にとってよくない」と付け加えた。(c)AFP