【2月13日 AFP】考古学者のサラ・グリーニー(Sarah Greaney)氏は、英イングランド南西部のソールズベリー平原(Salisbury Plain)に昇る太陽を眺めながら、古代遺跡「ストーンヘンジ(Stonehenge)」を造った人々の姿を思い浮かべた。

 この巨大な環状列石を英国各地や欧州大陸から集まった人々が設置して、約4500年がたつ。

「建造したのは農民で、作物を育てながら家畜を飼っていました。年の変わり目は生活の中で重要な意味を持っていたはずです」。歴史的建造物の保全機関「イングリッシュ・ヘリテージ(English Heritage)」に所属するグリーニー氏はAFPにこう語った。

 ストーンヘンジは、夏至と冬至の太陽の出没方位に合わせて石が門のように配置されている。

 ストーンヘンジを建造したのは奴隷ではなく、ある種の精神的な巡礼を目的とした「ボランティア」だったとグリーニー氏は主張する。「生涯に一度、(イスラム教の聖地)メッカ(Mecca)に行くようなものだったのではないかと思います」

■造ったのは原始的な人々という考えが過去のものに

 今月17日から7月17日まで大英博物館(British Museum)で開催される「ストーンヘンジの世界(The World of Stonehenge)」展のキュレーター、ニール・ウィルキン(Neil Wilkin)氏は、ストーンヘンジを造った人々は肥沃(ひよく)な土地を求めて移動し、石を運んできたのかもしれないと話す。2011年には、ストーンヘンジの石の多くが250キロ以上離れた場所から運ばれてきたことが研究によって明らかになった。

「ストーンヘンジという古代遺跡を軸にしてつながった世界」をテーマにした同展は、ストーンヘンジをグローバルな文脈で捉える一方で、最近のDNA分析や史料分析の結果も紹介している。こうした調査結果により、ストーンヘンジを造ったのは原始的な人々だったという考えは過去のものになりつつある。

 展示品は430点ほど。中には1300キロ離れたイタリア・アルプス(Alps)で採掘され、6000年ほど前にストーンヘンジ周辺に持ち込まれたとみられるヒスイ製のおのの刃などもある。

 同展に協力している英ソールズベリー博物館(Salisbury Museum)のエイドリアン・グリーン(Adrian Green)館長は、「これだけのものを一度に見られる、またとない機会です」と語った。(c)AFP/Anna CUENCA