【2月12日 AFP】イタリアの首都ローマの日暮れ時、白い作業着姿の5人が並木の陰に入る。鋭い鳴き声が混じった音を発するスピーカーを振ると、ムクドリが一斉に空に舞い上がった。

 毎年、冬になるとローマ上空では、ムクドリの大群がそろって急降下する見事な光景が繰り広げられる。

 何世紀も前からある教会や宮殿、遺跡の上で演じられる一糸乱れぬ舞は、行き交う人々を魅了する。

 だが、木に止まって休む群れが落とすふんは、下の路面や車をびっしりと覆う。ふん害のために、晴れていても傘をさして並木道を歩くローマ市民の姿も珍しくない。

 10月から翌年2月にかけて、越冬のために北欧からイタリアに渡るムクドリは数百万羽に上る。

 鳥のふん害を防ぐために市当局は毎年、ムクドリ対策を行っている。ただし、市内からムクドリを追い出すのではなく、群れを小さくして対処しやすくするために音と光を使用するのだ。

 環境問題に取り組む協同組合「ファウナ・ウルビス(Fauna Urbis)」のバレンティーナ・デトンマーゾ(Valentina de Tommaso)さんは、ムクドリを移動させるのに音は「最も簡単で効果的な」方法だと説明する。

 だが、住民のアレッシオ・レイティ(Alessio Reiti)さん(16)は「ムクドリは見事です」となぜ追い払わなければならないのか理解できないと語り、「そういう習性なのです。おしめをはかせるわけにはいかないでしょう!」と続けた。(c)AFP/Clement MELKI