【2月4日 AFP】(更新)アイスランドのスバンディス・スバーバルスドッティル(Svandis Svavarsdottir)漁業相は4日、同国が捕鯨を2024年に廃止する方針だと明らかにした。同国は、日本やノルウェーと並び商業捕鯨を続けてきた数少ない国の一つだったが、鯨肉の需要は近年減っていた。

 スバーバルスドッティル氏は、現地紙モルゲンブラディット(Morgunbladid)に対し、捕鯨数の年間割り当てが終わる2024年以降、「捕鯨を認めることを正当化できる理由がほぼなくなる」と説明。捕鯨に「何らかの経済的メリットがあるという証拠はほとんどない」と述べた。

 アイスランドでは2019~23年の年間捕獲枠として、クジラの中でシロナガスクジラに次ぎ2番目に大きいナガスクジラ209頭と、小型のミンククジラ217頭の捕獲を許可している。だが過去3年間で、漁の許可を得ている主要2業者が捕鯨を停止し、うち1業者は2020年に完全撤退。この3年間での捕獲頭数は、昨年のミンククジラ1頭にとどまっている。

 鯨肉の主要な市場である日本は2019年、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、商業捕鯨を再開。以降、アイスランド産鯨肉の需要は激減した。さらに、沿岸部の禁漁区が拡大され、より遠い沖合に出なければならなくなったことで、捕鯨のコストが増加した。

 輸入食肉の安全基準が国産品より厳しいことも、輸出の障害となっていた。また、新型コロナウイルス対策として一定の対人距離を置くよう求められたことで、鯨肉加工工場の運営にも支障が出ていた。(c)AFP