【2月3日 AFP】南アフリカで、トラを繁殖させてアジアに輸出するビジネスが広がっている。動物愛護団体は2日、すでに個体数が減少しつつあるトラにとって脅威になる可能性があると警告した。

 南アフリカでは、商業狩猟と骨をアジアに輸出するためのライオンの繁殖は認められている。ここ数年、同じ目的でのトラの繁殖も拡大してきた。

 動物愛護団体「フォー・ポーズ(Four Paws)」の報告書によると、2011~20年に359頭のトラが輸出された。これは世界全体の個体数の約1割に相当する。うち255頭前後は動物園に売却された。

 トラは南アフリカの固有種ではないため、法的に保護されていないと報告書は指摘している。

 フォー・ポーズの野生生物専門家、キーラン・ハーキン(Kieran Harkin)氏は英ロンドンからAFPの取材に応じ「アジアには市場があり、需要がある。業者がライオンよりも儲かるトラの繁殖に乗り換えるのは理屈にかなっている」と語った。

 同氏は、南アフリカは体の部位を販売するためのトラの繁殖を禁じている国際法を無視していると非難。フォー・ポーズは、アジア向け輸出が個体数減少の一因になっているとし、南アフリカに対し、商業利用を目的とする、トラなどすべての大型ネコ科動物の繁殖をやめるよう求めている。

 南アフリカでは、トラの個体数に関する正式統計は取られていない。

 映像はフォー・ポーズが撮影したもの。1日提供。(c)AFP