【2月13日 AFP】英イングランド中部ダドリー(Dudley)にある製菓工場では、真ちゅうの大釜に溶かした砂糖から立つ湯気に包まれ、従業員が大きなカラメルの塊と格闘している。昔ながらのキャンディー作りの風景だ。

 製菓企業エドワード・グレイ(Edward Gray)の工場で生まれる手作りのあめ製品は、今や米国、韓国、オーストラリア、日本を含め世界中から注文を受けている。

「テディ・グレイズ(Teddy Grays)」のブランド名でも知られる同社は1826年に創業。創業者のジョン・グレイ(John Gray)氏は馬車で一軒一軒、家を回り、自家製の菓子を買い付けて小売業者に卸していた。

 だがその社名を世に知らしめたのは、息子のエドワード・グレイ(Edward Gray)氏だった。

 ダドリ-の小さな工場では、フルーツやクリームを使ったハードキャンディーやタフィー、チョコレートでコーティングしたココナツアイスなど多種多様な菓子が毎週約5トン、生産されている。

 中でも目玉商品は「ハーバルタブレット」。「寒い朝晩」のお供として100年以上も愛されているミントキャンディーだ。

 その秘密のレシピは、近くの銀行の金庫にしっかりと鍵をかけて入れられている。中身を知っているのは創業者の子孫2人だけだ。

 営業部長のデーブ・ヒーリー(Dave Healy)氏は「私には教えてくれないのです、寝言を言うから」と冗談を飛ばす。 

 工業地帯の煙やすすから「ブラックカントリー(Black Country)」とも呼ばれるイングランド中部。ここで作られる菓子は、俳優で作家のスティーヴン・フライ(Stephen Fry)さんら著名人の後押しと相まって、その名をいっそう広めつつある。(c)AFP/James PHEBY / Oli SCARFF