【2月5日 AFP】台湾・台北を行き交う無数の二輪車。多くはガソリンスタンドで給油をするが、エイデン・リー(Aiden Lee)さんは、近年、台湾で増えているバッテリー交換所へと電動バイクを走らせる。

 バッテリー交換所は、化石燃料からの転換を一気に加速させると開発者らは期待を寄せる。

「正直なところ、ガソリンスタンドでの給油よりもずっと早いバッテリー交換がなかったら、電動バイクには乗らなかったでしょう」とリーさん。

 リーさんが使用しているのは、台湾のスタートアップ企業「ゴゴロ(Gogoro)」の充電式バッテリーだ。同社によると現在の契約者は45万人で、毎日平均33万本のバッテリー交換が行われている。

 リーさんによると、バッテリーは毎月のガソリン代より1割ほど高くつく。

 アジア地域での市場拡大と、米証券取引所への上場を目指すゴゴロは、台湾全土のコンビニエンスストアの前や駐車場内に計2300か所を超えるバッテリー交換所を配している。電動バイクの利用者はここで空になった電池を、充電済み電池と交換する。

 ゴゴロの創業者ホレイス・ルーク(Horace Luke)最高責任者(CEO)は、バッテリーも交換所もコンパクトで済むこの技術は、自動車よりもバイクに適していると語る。

「四輪車用はインフラの建設が必要ですが、わが社のシステムは自動販売機のようなものです。消費者が出かける場所、燃料を必要とする場所に合わせて、さまざまな場所に設置できます」

 ゴゴロによると、台湾の主要4都市では、すでにバッテリー交換所の数がガソリンスタンドを上回っている。

  2015年以降、これまでに交換されたバッテリーは2億4000万本を超える。これにより、約36万トンの二酸化炭素(CO2)の排出を抑えたという。

 ルーク氏は「世界が今日、持続可能性を追求し、地球温暖化と気候変動の抑制を模索している中、われわれは新たな産業を創出する解決法に取り組んでいます」と語る。

 台湾政府の統計によると、同国のバイク全体の売り上げのうち、電動バイクは21%を占めている。一方、従来のガソリンエンジンのバイクの売り上げは毎年2桁減となっている。

 さらにゴゴロでは世界最大級のバイク市場である中国、インド、インドネシアへの進出を視野に入れている。どれもスモッグ汚染の激しい都市を抱える国だ。

 ルーク氏は「バッテリー交換は形勢を一変させました。そしてこれからも流れを変えていくのです」と語った。

 映像は2021年9、12月に取材したもの。(c)AFP/Amber WANG