千葉AFP通信カメラマンの写真展、東京・大阪で開催
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【2月2日 AFPBB News】AFP通信を代表するカメラマンの千葉康由(Yasuyoshi Chiba)氏(50)の写真展「アライバル」が、東京都内で開催中だ。2020年に「世界報道写真(World Press Photo)コンテスト」で大賞を受賞した後、初の写真展となる。展示は来月、大阪でも行われる。
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千葉氏は日本人として41年ぶりとなる世界報道写真大賞を受賞。2021年には英紙ガーディアン(Guardian)の「最優秀通信社カメラマン(Agency Photographer of the Year)」に選出された。
千葉氏は、エチオピア北部ティグレ(Tigray)州で2020年から続く、政府軍と反政府勢力の衝突を取材。2日に始まった写真展では「難民」「空爆」「凱旋(がいせん)」「捕虜」の4つのテーマについて、「到着(アライバル)」の光景を中心に伝える。
戦闘が今なお続くティグレ州では、千葉氏が昨年撮影に訪れて以来、海外メディアの取材は許可されていない。
千葉氏は開催に当たり、「ニュースに興味のある人、フォトドキュメンタリーに興味のある人、カメラに興味のある人、プリントに興味のある人、カメラをつくってくれた人、いろいろな人に見てもらって、感じてもらえる写真展になった」と話した。
会場に並ぶ写真はすべて、トリミングなしでプリントされた。エチオピア軍の捕虜は7000人といわれている。捕虜を撮影した際には、生死を心配しているだろう彼らの家族のことを思い、手前から奥までなるべく多くの人が見えるように絞り込んで撮影した。
一番大きくプリントされた写真は、幅2メートルを超える。その前に立つと「撮影した時の空気感がそのままそこにある感じがした」と千葉氏。「想像していたよりも、一つ一つの写真の力が強過ぎて、どきどきするというか、もう一回体験しているような感じ」と語った。
「日本にいると平和なので、なかなかニュースを見ても分からないところもあるが、写っているディテール(細部)まで見て、どういうところなのかということをまず知ってもらいたい」
そして現状を知ってもらうことで、「見た人がそれぞれ、次のアクションを起こしてもらえるような連鎖になることは、常に期待している」と話した。
写真展は、新型コロナウイルスの感染対策を取りながらの開催となった。マスク姿の来場者が、約30点の写真に見入っていた。
千葉氏は朝日新聞社に写真記者として勤めた後、2007年に退職。フリーフォトグラファーとしてケニアに移住した。その後、ブラジルのAFP支局に勤務し、6年間にわたりサッカーW杯(World Cup)やリオデジャネイロ五輪などを取材。2017年にケニアに戻り、現在、12か国をカバーするAFPナイロビ支局のチーフフォトグラファーを務める。
東日本大震災も取材。被災地で撮った写真が「世界報道写真コンテスト」の「ニュースの中の人々(People in the News)」部門で1位に選ばれた。
写真展は、千代田区丸の内の富士フイルムイメージングプラザ東京で21日まで、大阪市中央区の富士フイルムイメージングプラザ大阪で3月16日~4月4日に開かれる。入場無料。(c)AFPBB News