【2月2日 AFP】英国で、地球温暖化の影響により植物の開花時期が約1か月早まっていることが、2日公表の研究で分かった。農作物や野生動物への影響が懸念される。

 論文は英学術専門誌「英国王立協会紀要B(Proceedings of the Royal Society B)」に掲載された。

 研究では、開花時期の推移を調べるため「自然カレンダー(Nature's Calendar)」と呼ばれるデータベースを使用した。自然カレンダーは、科学者、博物学者、ガーデニング愛好家や庭師、英国王立気象学会(Royal Meteorological Society)などの団体から寄せられた観測情報をまとめたもので、200年以上前から運用されている。

 国内の高木や低木、薬草、ツル性植物など406種の観察記録40万件以上を調べた結果、1987~2019年の平均開花日は、1753~1986年に比べ30日早くなっていたことが分かった。

 研究を率いたケンブリッジ大学(University of Cambridge)のウルフ・ビュントゲン(Ulf Buntgen)教授は、開花時期が早まると生態系が壊れる恐れがあり、「実に憂慮すべき」結果だと指摘した。

 農作物が早く開花すると遅霜の被害を受ける可能性がある。ただ、最も脅威にさらされるのは野生動物だという。

 昆虫や鳥は、餌である植物と発育段階が同時期になるように進化してきた。この時期がずれると「生態系のミスマッチ」が起こる。

 ビュントゲン氏は大学の発表で、ある植物の花が咲くと特定の昆虫が引き寄せられ、その昆虫が特定の鳥を呼び寄せるといった連鎖があると説明した。構成要素の一つの発達が他よりも早くなってしまうと、連鎖がずれてしまう恐れがある。ずれに対する適応が間に合わなければ、種の絶滅につながる可能性もあるという。

 ここ数十年の開花時期の推移は、特に温暖化など人間の活動による気候変動の影響の加速と一致する。

 国連(UN)は先月、過去7年は史上最も暑かったと発表した。2021年の世界の平均気温は、産業革命以前の1850~1900年の気温を約1.11度上回った。(c)AFP/Kelly MACNAMARA