■未来の前提

 カタログによると、ナチス政権下では、規則に従わなかったウィーンの芸術家は亡命を余儀なくされたり、強制収容所で殺害されたりした。「ナチスは芸術界を支配下に置き、自らのイデオロギー的、人種差別的な観念に沿うように操った」

 体制に従った芸術家の経歴とともに、絵画や彫刻、織物、陶器などの作品が展示されている。多くは何十年にもわたり、ウィーン市が保管してきたものだ。

 MUSAの広報担当者によると、強い関心が寄せられており、展覧会が始まった昨年10月だけで約4000人が来場した。展覧会は4月までの予定だ。

 大衆紙クリア(Kurier)がナチス関連の美術品の保管費用について批判したことを除けば、大きな論争も起きていない。

 ベロニカ・カウプハスラー(Veronica Kaup-Hasler)市議会議員は、過去に光を当てることは「未来について決める際の前提」になると話す。

 歴史に向き合おうとするウィーン市の取り組みは、展覧会だけにとどまらない。

 ヒトラーが感化された反ユダヤ主義のカール・ルエーガー(Karl Lueger)市長(当時)の名を冠した環状道路の一部は、すでに2012年に名称が変更されている。(c)AFP/Julia ZAPPEI