【2月1日 AFP】北京冬季五輪は、計6万人に及ぶ選手や記者、中国人運営スタッフが地元住民から切り離され、新型コロナウイルスの検査を毎日受けるという厳格な「クローズドループ」内で開催されることになる。

 メディアと運営スタッフは、「ループ」内にある認可を受けたホテルに宿泊しなければならない。このループとは今大会における新型コロナウイルス対策のバブル環境の別称で、選手らをウイルスから守り、国内へのウイルス流入を防止するのを目的としている。

 北京市内にある競技会場とメディアセンターを含むエリアは鉄製フェンスによって封鎖され、シャトルバスと認可済みタクシーの利用だけが中に入る手段となっている。

 ホテルの敷地から出ようとする人は警備員に止められ、宿泊客がホテルを出る際にはかばんの検査が行われる。またバスに乗車する前には、防護服を着用したスタッフがアクリル板越しにぎこちなく粘膜採取を行う、二つの小部屋に向かわねばならない。

 競技エリアに入ると人目をひく「鳥の巣(Bird's Nest)」こと北京国家体育場(Beijing National Stadium)が遠目に見え、元陸上選手ウサイン・ボルト(Usain Bolt)氏の優勝に満員の観客が沸いた、気苦労の無かった2008年の北京五輪での強烈な思い出がよみがえる。

 しかし、そうした光景はパンデミック(世界的な大流行)以前の異なる時代のものだ。

 今回は一部の招待客こそ観戦が認められているものの、予防措置として一般客の会場への入場は禁じられる。

 大会組織委員会は「クローズドループ」内の正確な人数についてなかなか明かそうとしたがらないが、国際オリンピック委員会(IOC)は1日あたりの検査数が信頼の証しだと述べており、1月29日には6万1060回の検査が行われた。

 北京冬季五輪が正式に開幕するのは今月4日だが、バブル内ではすでに陽性者が確認されている。組織委が1月30日に発表したところによれば、最新の検査で計11人が陽性となり、うち3人は選手やチーム関係者だったという。

 逃げ出すことはもうできない。調理師からバスの運転手、ボランティアにいたる全員がバブル内で寝食を共にしなければならない。(c)AFP/Guy JACKSON