【1月30日 AFP】タイ・ラヨーン(Rayong)県沖で海底パイプラインから原油が流出する事故が起き、海軍などが海岸に漂着した原油の除去作業を行っている。作業には1か月以上かかる可能性もあり、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた周辺のホテルやレストランに「とどめを刺す」との懸念の声が上がっている。

 ラヨーン沖約20キロにある石油精製会社スター・ペトロリアム・リファイニング(Star Petroleum Refining)の海底パイプラインで25日夜、原油少なくとも60トンが流出した。

 首都バンコクから車で約2時間半のメーラムプン(Mae Ram Phueng)ビーチには28日夜から原油が漂着し始め、翌日午後から除去作業が進められた。

 地元メディアが公開した28日の衛星写真から、47平方キロの範囲が汚染されているのが分かる。

 海洋科学者のトン・タムロンナーワーサワット(Thon Thamrongnawasawat)氏は、強風の影響により、これから数日間は原油が漂着し続ける見込みだと指摘した。

 メーラムプンビーチと周辺地域は観光業に依存しており、新型コロナで打撃を受けた経済がさらに悪化するとの声が上がっている。

 リゾートを経営する45歳の男性は「新型コロナと景気悪化で観光客は少なくなっていたが、今回の原油流出がとどめを刺す」と語った。

 海軍によると、29日までに8万リットル以上の原油が漂着した。

 ラヨーンでは、2013年にもパイプラインから原油が流出する事故が起き、近隣のサメット(Samet)島のビーチに原油が漂着した。

 今回も、海洋国立公園に指定されているサメット島への影響が懸念されている。(c)AFP